前回は、会社員が加入している健康保険の傷病手当金の計算方法が、来年度から見直されることをお伝えした。だが、制度の見直しは、これだけではない。

 来年は、傷病手当金のほかにも、健康保険の制度改正がいくつも予定されており、そのひとつが分娩費用の補助を目的とした出産育児一時金だ。

大野病院事件を契機として
産科医療補償制度が創設

 妊娠・出産は病気ではないので、お産のために医療機関を受診しても、原則的に健康保険は適用されない。とはいえ、妊娠高血圧症候群、胎盤の異常などによって母体が危険にさらされることもある。安全に出産するためには、妊娠中から定期的な健診を受けることが大切なので、今ではほとんどの人が産科の病院や診療所、助産院などで出産している。

 こうした妊娠・出産にかかる費用をカバーするために、健康保険から現金給付されているのが出産育児一時金だ。

 以前は、会社員の健康保険では「分娩費」、自営業の国民健康保険では「助産費」と呼ばれていたが、1994年にいずれも「出産育児一時金」という名称に変更され、法定給付額も子どもひとりにつき30万円に統一された。その後、分娩費用の上昇などを考慮して、2006年には35万円に引き上げられた。

 この出産育児一時金に、産科医療補償制度の掛け金の加算が行われるようになったのが2009年1月だ。

 産科医療補償制度は、分娩中の事故などで子どもが重度の脳性麻痺などの障害を負った場合に、速やかに補償金を支払うことで、産科医などの負担を軽減することを目的に創設された。

 契機となったのは、2004年12月に起きた福島県立大野病院産科医逮捕事件だ。帝王切開の手術中に患者が死亡し、執刀した産婦人科医が業務上過失致死・医師法違反の容疑で逮捕され、医療界に激震が走る。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)