三井住友FG(8316)の日足チャート(1カ月、11/5まで)。ダルさんが注目しているのは、保有する株が他のメガバンクよりも多い点だ

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 現在発売中の『ダイヤモンドZAi(12月号)』に登場し、先日のザイ・オンラインの記事(関連記事はこちら⇒給料の半分を天引きで証券口座に入金し、4年間で1億円が目前に迫る投資術とは?)の反響も大きかった個人投資家・ダルさんは、企業の業績などのファンダメンタルズを綿密に分析に、割安な小型の成長株を発掘するファンダ派。

 日中の値動きを追うデイトレーダーよりも、一般的な兼業投資家に近い投資手法のダルさんは、10月31日、日銀の追加の金融緩和発表後の相場でどのような投資戦略を立てているのだろうか。まだ追加緩和の熱が冷めやらない11月3日に話を聞いた。

これまでの勉強の成果が追加緩和発表直後を活かし、
空売りのポジを縮小して、三井住友FGを成り行き買い!

 10月31日の追加緩和発表以来、日経平均株価は大きく上昇しているが、実はダルさんにとっては直前の株式市場のほうが稼ぎやすい相場だったという。

「10月31日より前は『いい株がしっかり上がって、悪い株は下がりやすい』という地合いで、僕はいい株は買ってましたけど、悪い株は集中的に空売りをしていて、ポジション的にはどっちかというと空売りのポジションのほうが大きかった。それで結構いい感じに利益を出せていたので、ぶっちゃけ、10月31日に追加緩和が発表されたのは迷惑でしたね」

 とはいえ、昨年9月に会社を辞めて、専業投資家になったダルさんにとっては恩恵もあった。というのも、発表の直前に「ひょっとしたら追加緩和があるんじゃないか?」と感じ、空売りのポジションを縮小し、同時に緩和があれば大きく上昇が見込める銘柄を仕込むことができたのだ。

「基本的に投資というのは常にいろいろ想定するのが大事だと思うんですが、10月31日もいろいろと想定するなかで、空売りのポジションが大きかったのもあって、『もし緩和があれば死んで(大損して)しまう』という可能性があったんです。それだけは絶対に避けなきゃいけないなと考えて、金融政策決定会合の結果の発表が長引いていたときに、売りのポジションは少し買い戻しておきました。もし、追加緩和がなければもう一回、売り直せばいいだけなんで。同時に、もし緩和があったときのために、三井住友フィナンシャルグループをすぐに発注できるように『成り買い』の注文をセットして待っていました」

 なぜ、三井住友FGだったのだろうか? 前回の金融緩和のときに買われたアイフルやケネディクス、またレバレッジがかけられる日経平均先物を買うという選択肢もあったはずだ。

「確かに、前回の緩和のときにアイフルやケネディクスが上がったのはわかっていたんですが、緩和によって業績が上がる裏付けがあるわけではなく、『緩和バブルと言えばコレ!』という“チューリップの球根”的なバブル銘柄で、今回も同じように上がるかどうかはわからないですし、上がったとしてもすぐに下がる可能性も少し考えました。日経平均先物はレバレッジがかけられるというのが魅力ですけど、僕は普段からレバレッジを大きくかけるタイプでもないので……」

 しかし、それらの銘柄と比較すると、三井住友FGには緩和が業績に寄与するという安心感があったという。

「三井住友FGはメガバンクのなかで株を一番多く保有している銘柄で、言い換えれば『アベノミクスの成功を一番信じている銀行』とも言えます。あらかじめ準備していたというよりは、いままでの積み重ねで、たまたまいろいろ勉強していた中で、それを覚えていたという感じですね。しかも、三井住友FGはメガバンクの中で最弱の位置にいたので、日経が強くなる局面では、それが逆転する可能性もあるんじゃないかなと思って、『日経が強くなる局面、アベノミクスが成功する局面になったら買っていこう』と思っていただけです。なので、今回の相場でもいろんな銘柄に投資した人がいると思うんですけど、結局は普段の積み重ねが、ああいう緊急の局面で出るだけなのかなと感じます」

 ただし、実際には10月31日の引け後には、アイフルやケネディクス、日経平均先物に投資しなかったことを激しく後悔もした。

「『もっとリスクを取ればよかった』『なんでもっとリスクを取らなかったんだろう』とすごく後悔しましたよ。でも、僕は(短期の)トレードは下手くそだし、ずっとそんなことを続けてたら死ぬんで、これでよかったんじゃないかなというのが正直なところですね。相場はずっと続きますし、結局はやっぱり死なない(大損して退場しない)のが一番大事だと思うので」

 そんなダルさんは、今後の株式市場がどうなると考えているのだろうか。

バブル相場になると割安な優良銘柄が少なくなる……。
株価が上がる喜びより、従来の手法が使えなくなる怖さがある

「僕はあんまり相場を予測するタイプでもないし、自信もないんですが、現時点(取材を行った11月3日時点)では、これから前代未聞のバブルになるんじゃないか……というか、そこまで絶対に想定しておかないといけないと思っていますね」

「バブル」をネガティブに捉えているように聞こえるのは、前述したように、ダルさんが得意な相場は「いい株は下がり、悪い株は下がる」相場。バブルになって企業の業績に関係なく株価が高騰すると、ダルさんのファンダ分析が効かなくなる可能性があるのだ。

「自分はバブルが起きるのが一番怖いんですよ。全体的に株価が下がっていても、いい銘柄を探し出せれば勝てるんですけど、株価が上がってしまうとギャンブルに近くなるというか、割安な銘柄がなくなってくる中で運用しないといけないので……バブルになるとつらいんです」

 では、実際の投資行動としては?

「金融緩和相場についていくために買いポジションは増やす方向で考えていて、素直に大型株を買うのが一番なのかなと、今のところは思っていますね。前回の金融緩和で上昇した銘柄を買おうと考えている投資家も結構いると思うんですけど、そういう銘柄に投資するとなると難しい駆け引きになっちゃうと思うんですよね。駆け引きが強い人は勝つけど、『前回の金融緩和で上がったから』という理由で、変な銘柄を掴んでしまうと『全然上がらない』と騒がないといけないハメになるかもしれませんし。まぁ、バブルになるんだったら、大きな資金も入りやすい大型を買っておけば、ある程度はついていけるんじゃないのかなと思ってますね」

 ダルさんが得意とする中小型の銘柄はどうだろうか?

「前回の金融緩和のときと違うのは、今回はもう小型株がさんざんいじくりまわれた後なんですよね。大型株は高値はついていても新高値はつけていない銘柄も多いですし、まだ手垢がついてない銘柄も多いのかなと。空売りもそこそこ入ってますからね。だから、小型株のほうが大型株よりも上昇率が高くなるかと言われると、そうでもなくて、大型中心の相場が来るんじゃないかなと、そんな感じがしています」

 しかし、問題は買うタイミング。すでに10月31日に株価が大きく上昇しており、日中に株価を見られない兼業投資家の中には、いまから株を買うことを躊躇している人も多いはずだ。いったいどう考えて、どう行動すればいいのだろうか?

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