今や国民病といわれて久しい「生活習慣病」。それは特定の呼称ではなく、生活習慣が主な原因となる多くの疾患群の呼び名でもある。
 厚生労働省は、このうちの、がん、脳卒中、心臓病を3大成人病とし、これに急増中の糖尿病を加えた疾患への対策転換に力を注いできた。これにより日本は世界で一番の長寿国に認証されたが、半面、糖尿病などの合併症や後遺症に苦しむ高齢者の数が急増しているのも現実にある。
 同省は、これら生活習慣を主因とする疾患群も「生活習慣病」とし、改めて一次予防に重点を置く対策に乗り出している。

 その代表は、「肥満症」、「脂質異常症(高脂血症)」、「高血圧症」、「糖尿病」の四つが挙げられ、医療機関では、これらを“死の四重奏”と称して警戒の目を向けている。
 ある専門家が説明する。
 「国民の喚起を促すための呼称ですが、単独でも病気のリスクは高く、複数となると軽度であっても相乗効果によりリスクが高まる。とくに肥満症、メタボリックシンドロームは深刻な疾患と捉え、予防と対策に努めています。肥満は、生活習慣病の糖尿病やすい炎、高血圧、脂質異常など多くの病気の原因になるため放置できない症状なのです」

 しかし、肥満症だけを捉えている訳ではない。前に触れた“四つの病”は、いずれも食生活に関係している。メタボリックシンドロームをはじめ高脂血症、糖尿病は、栄養の問題を抜きに予防や改善は語れない。
 現在、予防医学では疾患の「一次予防」が最重要視されている。一次予防とは、病気にならないように気を付けることを意味する。
 これまでは、定期健康診断や人間ドックなどで病気を早期に発見し治療するという「二次予防」に重点が置かれてきた。しかし今では、健康的な食生活や生活習慣を確立することで病気の発症そのものを防ぐ「一次予防」がメーンに挙げられるようになった。

 日本成人病予防協会の健康管理士・長岡正氏はこう警鐘を鳴らす。
 「考えれば、自然界において自分で自分の身体を悪くするようなことをしている動物は、人間だけではないでしょうか。たばこ、暴飲防食、夜更かし…。なぜ我々は不健康な生活をやめないのか。不健康を示すデータは至る所にあるし、患者さんも周囲にたくさんおられる。健康でいたいという気持ちと努力さえあれば、予防環境は整っていると思うのですが…」

 今春、ラーメン店『支那そばや』の店主で“ラーメンの鬼”としてテレビ番組にも多く出演していた佐野実氏が、多臓器不全で亡くなった(享年63)。
 佐野氏は糖尿病を患い2月中旬から入院していたが、病室でも『支那そばや』のラーメンを口にしていたという。

 ラーメンは子供からお年寄りまで愛される国民食といえるが、健康的にはどうか。6年前には、新横浜のラーメン博物館広報担当だった武内伸氏も、48歳の若さで肝硬変で亡くなっている。3食ラーメンの生活を送っていた“ラーメン王”だった。
 「ラーメンの特徴はカロリーの高さと塩分の多さ。塩分の過剰摂取は、高血圧やがんにつながると医学的にも証明されています。それを無視した食生活を続けていれば重篤な病になります。好物のラーメンとはいえ、やはり控えめに食べるのがいいでしょうね」(医学博士・内浦尚之氏)