黒田緩和2「非常識」で円安120円になるのか!?
 10月末、日銀の追加緩和は、予想外としてマーケットを大きく動かしました。ドル/円は109円台から一気に112円台へ、また株価も世界同時株高となりました。こういった動きを受けて、11月の為替がどうなるかについて、今回は考えてみたいと思います。

◆黒田緩和2が「非常識」という理由

 今回の日銀による追加緩和は「サプライズ」とされましたが、円安との関係でいえばとりわけそんな見方になると思います。109円程度のドル高でも、5年移動平均線からの乖離率はプラス20%を上回っていました<資料参照>。

※<資料>はコチラ⇒http://hbol.jp/?attachment_id=12002

 1990年以降で、同乖離率がプラス20%以上に拡大したのは1997-1998年の一度だけでしたが、そこでは円安阻止の円買い介入が行われました。ところが、今回は円安をもたらす可能性もある追加緩和に動いたわけですから、経験的には「全く非常識な政策」ということになるでしょう。

 ある意味では、「非常識すぎる」政策だったので、驚いて一気に円安、株高に動いたということはあるでしょう。ただその割に、今回の円安、株高のリアクションは、黒田日銀総裁が昨年4月4日、最初にマーケットを大いに驚かせた際のリアクションと、実はそれほど変わりないものでした。

 仮に、2013年4月4日を「クロダ大相場1」、そして今回の2014年10月31日を「クロダ大相場2」とすると、ともに対円でのドル高は3円強、そして日経平均の日中最大上昇率は4%強だったのです。

 それにしても、「クロダ大相場1」は、結果的には92→103円へ、約10円の円一段安の始まりでした。では、初日のリアクションがほぼ同じだった今回も、例えば109→120円へ、約10円の円一段安の始まりなのでしょうか。後で確認しますが、それを考えるうえで、上述の「今回は非常識すぎる」ことが鍵になるのではないかと思っています。

 改めて、2013年4月4日、黒田日銀総裁が「異次元の緩和」を決定し、円安、株高へ大きく動くきっかけを提供した当時を考えてみましょう。実は、この一段のドル高・円安は、日米金利差では説明できないものでした。主因は「異次元緩和」でも日本の金利が低下せず、むしろ急上昇へ向かったためでした。

 こんなふうに金利差では説明できなかったにもかかわらず、2013年4月以降、「異次元緩和1」を受けてドル高・円安になった動きを正当化できたのはなにかといえば、株高だったでしょう。日経平均株価は、「異次元緩和」を前後し約1か月半で3割もの大幅高となりました。これと円安はほぼ連動するところとなったわけです。

 以上のように見ると、今回の「異次元緩和2」を受けた円安がさらに続き、それこそ「異次元緩和1」の際と同様に10円の円安の始まりだったということになるかは、株の動きが鍵になるのではないでしょうか。

 ところでその株、例えば日経平均の5年線からの乖離率は、昨年3月末、つまり「異次元緩和1」直前ではプラス24%程度でした。ところが「異次元緩和2」を受けた足元の同乖離率はプラス45%程度。要するに、「異次元1」後と足元では、「株高バブル」拡大余地にかなり差がありそうです。

 そもそも、ドル円の5年線からの乖離率は、昨年4月「異次元1」直前はプラス7%程度でしたが、足元は同プラス20%を大きく上回る動きになっています。今回のように、同乖離率が±20%以上に拡大したのは過去3回ありましたが全て為替介入をしました。その意味では「介入しなければならないほど悪い為替」なのではないでしょうか。

 さて、そんな「悪い円安」でも、すでにこれまで見てきたように「株高バブル」拡大余地に限界があるほどの株価がさらに上昇できるのでしょうか。上述のような「非常識すぎる」政策はやはり凶となるのか、それとも吉になる可能性はあるのか、それが試されるこの11月相場なのではないでしょうか。(了)
 
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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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