『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言 (講談社+α新書)』デービッド・アトキンソン 講談社

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 オックスフォード大学時代から現在に至る30年間に渡り、アナリストとして日本経済を分析し続けてきたデービッド・アトキンソンさん。現在は実際に、日本の文化財を保全修復する会社を経営されています。

 アトキンスさんの著書『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る』では、長年に渡る日本経済の分析、自らの経営を通して、日本の企業、経済の問題点を鋭く指摘。

「まず、人口が減っていくこれからの日本で経済が今より厳しい局面を迎えるのは避けられません。それに対応するには徹底的に分析をして、その現実へ向かっていく国策を考える必要があります。それは抽象的で曖昧で、評論家的なアマチュア経営では不可能でしょう」(同書より)

 こうした厳しい日本の現状について具体的に説明した上で、その打開策のひとつとして、観光業に目を向けます。

 しかし、日本の観光ビジネスの現状は、"アジアの劣等生"としての位置づけであり、決して褒められたものではないと指摘します。

 実際、以下のような数字が出ているのだそうです。

一、世界ではGDPに対する観光業の貢献度は平均九パーセントだが、日本の場合は約二パーセント

二、国連の数字によると、外国人観光客が最も多いのはフランスで年間八三〇〇万人、次いでアメリカの六九八〇万人

三、日本を訪れる観光客は年間一〇三六万人(二〇一三年)、これは香港(二五六六万人)の半分以下

四、観光業収入を見ると、日本は一四九億ドルで、マカオの二八・九パーセントしかない

五、一人当たりで観光にもっともおカネを落とすのはオーストラリア人。以下ドイツ人、カナダ人、イギリス人、フランス人、イタリア人と続くが、日本には台湾、韓国、中国という近隣国からの観光客が圧倒的に多い

 例えばそのなかの五番目の項目に注目してみると、一般的に文化財などに興味のある観光客は1日10万円を消費するというデータが出ているにも関わらず、日本の観光地・京都を訪れる外国人観光客は、観光にお金を落とさない台湾、中国人が多いため、結果、一人当たりの消費額は1万3000円弱に留まるのだそうです。

 では、こうした問題を解決し、日本の観光地に人を、お金を呼び込むには一体どうしたらいいのでしょうか。同書では、データによって示される明確な数字に基づく分析、客観的かつ冷静な着眼点によって、今後の日本の経済のひとつの打開策が鮮やかに提示されています。気になる方はご一読を。