【漫画】HUNTER×HUNTER、ベルセルク、新ゲノム…あの人気作の“最新刊”がなかなか出ない理由

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先日、私が大ファンである漫画『にゃんこい!』の最新刊である第6巻が発売されました! これは、ファンとしてとてつもなく嬉しい大ニュース! 冗談抜きでこの単行本をアニメショップで手に取った時、ちょっと泣きそうになりました……。

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何で、漫画の最新巻を買うことが涙が出る位に嬉しかったのかといいますと、この『にゃんこい!』の第6巻というのが、実に前巻から4年半という長い期間を経てのリリースだったからです。

第5巻の初版が発売をされたのが、2010年の3月ですから、そこから4年と7ヶ月。まさに、"待望の"という冠詞がピッタリとくる『にゃんこい!』第6巻。そりゃ、ファンとしては嬉しくて嬉しくて泣きそうにもなるってもんです。

この様に、なかなか単行本の最新刊が出ない漫画作品ってありますよね。ファンは、物語の続きを読みたい、愛しいキャラクター達に再会したい……と待ち続けることになるわけですが、こういった作品の刊行ペースがスローな理由っていくつか考えられると思うんです。ちょっと、自分なりにまとめてみたいと思います。

■タイプ1・作品に長期休載や掲載誌の変更があった場合

週刊誌や月刊誌で連載されており、継続的に単行本がリリースされるというのは、ファンにとって漫画作品の一つの理想形ではないかと思うのですが、作品によっては諸々の事情により雑誌掲載のペースが遅くなってしまう……というケースがあります。

冒頭に挙げた『にゃんこい!』もそうした漫画作品のひとつ。本作は主人公とヒロイン達の微笑ましくも、ちょっと切ない恋愛模様を可愛い猫達を絡めながら綴るラブコメディ。

当初はウェブコミックサイトの『FlexComixブラッド』で連載をされており、作品の人気の高さからアニメ化もされたのですが、作者である藤原里先生が体調を崩された為に、長期休載となってしまいます。更に、その後、掲載メディアの変更なども重なり、新エピソードを発表するペースは、かなりゆっくりしたものに……(現在は、ウェブ上のコミックサイト『COMICメテオ』に移籍をして連載中)。

ですから、今回の最新刊の発売は、本当に本当に嬉しいものだったんです。作者さんの健康状態や掲載誌の変更といったデリケートな問題ではありますが、やはり、ファンとしてはもどかしい思いをしてしまうもの。

『にゃんこい!』と同じく『FlexComixブラッド』からの『COMICメテオ』への移籍作品で、アニメ版も放送された人気作の『ヒャッコ』の場合なんかは、連載中止の様な状態で新エピソードの発表が止まっており、こちらも最新刊を読めるのは当分先になってしまいそうです。

とはいえ、ファンとしては作家さんの健康や掲載誌の安定が一番。やはりそこは、のんびりと気長に、そして一方では、強い愛情を持って作品を追い続けるのが一番ではないかと思います。

■タイプ2・休載が多い作品や、不定期連載の作品の場合

作者さんの体調不良だったり、掲載メディアが変わったり……という止むに止まれぬ事情がある作品の他にも、休載が多かったり、そもそも不定期連載だったり、という作品もあります。当然ながら、単行本に収録される話数の集まりも他の連載作に比べるとペースが落ちるわけで、単行本派の人なんかは非常にジリジリさせられてしまうという。

こういった作品の二大巨頭といえば、ズバリ、冨樫義博先生の『HUNTER×HUNTER』と三浦建太郎先生の『ベルセルク』ではないでしょうか?

それぞれ、『週刊少年ジャンプ』と『ヤングアニマル』という少年誌、青年誌の超メジャー誌での連載作であり、大人気作品でありながら、その掲載、刊行ペースは……。ウェブ上での漫画語りにおいても、「休載が多い漫画」だったり「単行本が出るのが遅い漫画」という話題で必ず名前が挙がる作品だと思います。いわば、『HUNTER×HUNTER』と『ベルセルク』は漫画ファンを待たせ続ける西と東と両横綱。

その特異な作家性がファンの間でも一種の"キャラクター"として愛されている感もある両先生ではありますが、それも作品の完成度を観てみればある種納得させられるのも事実。『ベルセルク』なんて、背景もキャラクターも(また、ストーリーの濃度も)描き込みが物凄い作品ですから、あのペースじゃないと描けない、作れないというのも真理なんだと思います。

しかしながら、そんな三浦先生は『ベルセルク』を途中で止めたまま新作『ギガントマキア』を発表したりも……み、三浦先生、『ベルセルク』は……? 『ギガントマキア』、主人公がプロレス技で異形の怪物たちをバッタバッタと薙ぎ倒す様が痛快で、プロレス好きな自分は好みの作品なんですが、職場なんかで評判を聞いてみると、やはり『ベルセルク』の続きを早く読みたいという意見も多かったです。

他にも、こういった「不定期連載になっている漫画家さん」だと、『BASTARD!!』の萩原一至先生や、もう何年も『ファイブスター物語』のリリースが止まってしまっている永野護先生といった"超大者"の作家さんもいらっしゃいます。待たされた分、出てくる作品も凄いんですが、それにしてもリリース間隔のスパンがハンパじゃなく長い……。

■タイプ3・そもそもの掲載ページが少ない場合

一方で、漫画雑誌に毎号掲載されているにも関わらず、なかなか単行本が出ない漫画作品もあります。ズバリ、ショートコミックや四コマ漫画等、掲載ページ数が少ない漫画作品達です。例えば、古賀亮一先生の『新ゲノム』。

虫の研究を行うエルフのエルエル、生物研究所の所長、そしてお手伝いロボットのパクマンという三人(二人と一体?)を主人公に、毎回、ハイテンションなドタバタコメディが繰り広げられるギャグ漫画なのですが、いかんせん月刊誌掲載のショートコミックなので、単行本に収録をする為の話数の集まりは遅くなります。本作は、だいたい2年〜3年位に一冊という、かなりユッタリとしたペースで単行本が発売されています。

『新ゲノム』は、非常にレベルが高いギャグ漫画で、ファンも多いのですが、掲載誌が成年漫画雑誌(つまりは、18歳以下は購入出来ない漫画雑誌)ということもあり、ちょっと成年漫画は書店で購入しづらい人、または未成年のファンなどは単行本にまとめられるのを待つしかないのですが、何ともジリジリさせられる刊行スケジュール。

他に、このパターンでファンが長い間"お預け"となる作品として、ばらスィー先生の『苺ましまろ』なども代表例として挙げられるかと思います。大学生と小学生の女の娘のゆるくてちょっとシュールな日常をコメディタッチで描いた作品なんですが、こちらも月刊誌で掲載のショートコミック。

更に度々休載が挟まれることもあり、掲載誌である『月刊コミック電撃大王』の看板作品の一つであるにも関わらず、こちらも単行本の発売スケジュールは非常にゆっくり。ファンを焦らし続けている作品です。この「ショートコミックでページ数が少ない+休載が多い」という合わせ技一本っぷりはなかなかに強烈で、単行本派泣かせの作品と言えるでしょう。

あとは、近年人気の所謂"萌え四コマ"なんていうのも、その形態故に作品人気の高さとは反比例して、単行本の刊行速度は長いスパンを空けがちです。果たして、どれだけの四コマ漫画ファンが『ひだまりスケッチ』の最新刊を待ち侘びていることか……。最も、こうした作品の場合は、待たされた分、単行本で一気読み出来る爽快感も格別なわけですが。

■それでも読者が単行本を待ち続ける理由

この他にも職場の同僚等、周囲の漫画ファンに意見を聞いたところ、広江礼威先生の『BLACK LAGOON』、大塚英志&田島昭宇両先生による『多重人格探偵サイコ』、冬目景先生の諸作品なんかが、「単行本がなかなか刊行をされない漫画」として名前が挙がっていました。

また、美内すずえ先生の『ガラスの仮面』の様に、最早、その単行本のリリース間隔が"遅い"という概念を天高く飛び越え、ディオ様のザ・ワールドで時を止められてしまったかの様な漫画作品もありますし、士郎正宗先生の『アップルシード』の様に、根強いファンを持ちつつも何十年という単位で新作の発表が止まっている作品(実質、完結?)もあります。

ですから、どんなにゆっくりしたペースでも最新刊が発売をされるというだけで、その漫画や作者さんを愛しているファンならば喜ぶべきものなんだと思います。とはいえ、やはり、その刊行ペースが遅いと焦れてしまうもの。

雑誌が発売される度に巻末の作者さんのコメント一覧を真っ先にチェックし、好きな作品の休載を確認しては「また、今週もか……」と肩を落とし、何だったら、ネットで作者さんに対して「◯◯仕事しろ」なんてことを思わず言っちゃう人もいます。

何故、こんなにも待たされつつも、新刊を待ち続けてしまうのか……答えは、簡単でその漫画がおもしろくて、作者さんのファンで、作品と作り手を愛して止まないからです。理由は、様々ですが単行本の刊行ペースが遅い漫画作品というのは、確かに存在します。でも、何故、そんな作品がファンから忘れ去られることがないか、打ち切りになることがないのか、そして、何故、新刊を皆が待っているのか……

それはやっぱり作品がおもしろくて、待つ価値があるからなんですよ。どれだけ、間が開いても、やはり大好きな漫画の新刊が出れば嬉しいもの。これからも、そんな待つ価値のある作品と長いこと付き合っていきたいですよね。