コウモリの免疫力が、エボラ出血熱を予防する鍵に−豪研究者

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コウモリからは、エボラ出血熱を始め100種類以上のウィルスが確認されています。そのウィルスの多くは、人間に感染すると致命的です。

エボラ出血熱のウィルスを持った、アフリカフルーツコウモリが落とした糞尿に触れたり、コウモリが食べかけた果物を食べることで、霊長類や他の種にエボラ出血熱が伝わりました。

人間も最初は、ウィルスを持つコウモリや霊長類に触れることで、エボラ出血熱に感染したと考えられています。

コウモリは、エボラ出血熱のウィルスを持っていても、病気を発症しません。しかし、一旦ウィルスが他の種に感染すると、広範囲に病気と死を引き起こします。人間に感染すると最高致死率が90%というエボラ出血熱のウィルスに、どうしてコウモリは抵抗力を持っているのでしょうか?

オーストラリア連邦科学産業研究機構の科学者、ミッシェル・ベーカー博士は、コウモリが、どうやってウィルスの複製を制御しているのかを研究することで、エボラ出血熱や、抗菌薬耐性ウィルスなどが引き起こす、新しい伝染病を予防する鍵となるだろうと言います。

ベーカー博士によれば、コウモリとウィルスは、共存するため平衡状態を保つ事に成功しています。

コウモリのゲノムの研究により、初期の免疫反応と関連した遺伝子の違いが明らかになりました。

これらの遺伝子は、他の種と比較して速く進化しているようです。そしてこれは、コウモリとウイルスが共進化している証拠となります。

また、免疫系の機能的な違いも一役担っているようだとベーカー博士は言います。

感染症への反応として免疫系を起動させる人間やマウスと違って、コウモリは常に免疫系の特定の構成要素のスイッチを入れておけるようです。

そのせいで、コウモリは他の種より、もずっと効率的にウイルス複製をコントロールできるのかもしれません。

研究によって、他の種の免疫反応を、コウモリと同じような免疫反応に変えることが出来れば、エボラ出血熱のような死亡率の高い病気も過去のものとなるだろうと、ベーカー博士は期待しています。

Bat’s immunity may hold key to preventing future Ebola outbreaks
http://csironewsblog.com/2014/10/17/bats-immunity-may-hold-key-to-preventing-future-ebola-outbreaks/