【ミッシェル・ルグラン「シェルブールの雨傘」】 恋愛と戦争、ジャズとクラシック、言葉と音楽… 異質な組み合わせの衝突で、高次元の結晶が生まれる

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 私たちの身の周りには、常に対立があります。ニュースでは頻繁に与野党の政治的対立を報道しています。日本の国会のみならず、ワシントンDCでもパリでも、大統領と議会は対立しています。企業においても、派閥抗争は見慣れた光景かもしれません。ですが、そんな対立を乗り越え、一つになった時、業績は大きく伸びるものです。

 哲学の世界でも、ヘーゲルの「止揚(アウフヘーヴェン)」という概念によれば、互いに対立する主義主張が衝突した場合、時によっては、その対立がより高次元の考え方を生み得るのだ、と喝破しています。

 音楽も同様です。異質なものが出合う時に驚異的な輝きを生むのです。

 と、いうわけで、今週の音盤は、ミッシェル・ルグラン作曲「シェルブールの雨傘」サウンドトラック盤(写真)です。

20世紀映画音楽の最高峰

「シェルブールの雨傘」は、1964年にフランスで公開されたミュージカル仕立ての映画です。監督はジャック・デゥミ、音楽は新進気鋭の作曲家ミッシェル・ルグランが担当しました。

 公開と同時に大ヒットとなり、カンヌ映画祭でパルムドール(最高賞)も得ました。

 主人公ジュヌヴィエーヴに扮したカトリーヌ・ドヌーヴの可憐な姿は、世界中の映画ファンを魅了しました。舞台はノルマンディー地方の港町シェルブール。母親が営む傘ショップの売り子という設定で、品の良さと美貌、無垢な少女の面影の中に潜む大人の女性を見事に演じたのです。

 そして、ルグランの音楽のチカラによって、物語は驚異的なリアリティーを発揮します。

 当時、既にミュージカル映画は珍しくはありませんでしたし、素晴らしい音楽の映画も多数ありました。が、「シェルブールの雨傘」が他の映画と決定的に違っていたものがあります。

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