鎌倉保健福祉事務所は先ごろ、鎌倉市七里ガ浜のすし店で、すしを食べた藤沢市内の男性(37)が腹痛と吐き気を訴え、胃から寄生虫の『アニサキス』が見つかったと発表した。
 この男性客は、9月30日にイナダ、サンマ、カマスなどのすしを食べ苦しみ出したという。保健所は寄生していたアニサキスが起因したとみて、すし店を営業停止処分にした。
 「アニサキスの成虫は、イルカなどの海獣の胃袋に寄生し、長さ30センチまで成長します。人間の場合、アニサキスの幼虫が寄生した魚を生食して腹痛を起こすことがよくある。ちょうど10月の今頃が食中毒を起こしやすいんです」(世田谷井上病院・井上毅一理事長)

 アニサキスの幼虫は線虫といい、1.5センチ〜2センチの大きさ。診断では、まず問診で疑うという。
 「腹痛が起きる前に、サバなどの青魚やイカの刺身を食べませんでしたか」

 これで患者が「食べた」と答えた場合、すぐ胃カメラで虫体を探し、胃の壁に食い付いて頭部を粘膜に突っ込んでいれば、鉗子で引っ張って除去する。
 「アニサキスを除去すると、腹痛はケロッと治ります。ただ、胃壁は5ミリ程度なので突き破ることもあります」(井上理事長)

 最近はグルメ志向が強まり、魚を生食する人がより増えているが、気を付けなければならないのは、新鮮なものほどアニサキスが生き残っている可能性も高いことだという。たとえ酢で締めたからといって、大丈夫というわけでは決してないようだ。
 「シメサバなら大丈夫だと思っている人もいるが、酢で締めてもアニサキスは死にません。できればサバやイカは火を通した方がいいのですが、生にこだわる人はマイナス20℃で1日以上冷凍したものなら安心です。しかし、アニサキスが腸に穿入する腸アニサキス症では、時に腸閉塞や腸穿孔を併発することもあるので要注意です」(同)

 食通は用心せよ。