アマゾンのスマホ「Fire Phone」は、なぜ失敗したのか

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先日の決算発表で、アマゾンは2014年第三四半期は470億円の赤字を計上したことが明らかになっている。その背景にあるのは、鳴り物入りで登場した謹製スマートフォン「Fire Phone」の失敗のようだ。

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いま、アマゾンの「Fire Phone」はAT&T社で2年契約をすれば実質1ドルで購入できる。数カ月前に発売を開始した時は確か199ドルだったはずだ。7月の発売時点で1ドルにしておけば、ここまで失敗のレッテルを貼られる事もなかったかもしれない。

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公式な販売数は公表しないものの、アマゾンが先日公開した第3四半期の報告では、1.7億ドルの損失を抱えており、これはFire Phoneの売上が下回ったことが大きな原因だとされている。そのなかでもアマゾンは8300万ドル相当の未発売のFire Phoneが売れ残っているとコメント。正直これは、相当な売れ残り数だろう。

Fire Phoneには可能性があったし、収支ももとはとれたはずだ。しかしはじめから重要な(そして明白な)ミスは確かにいくつかあった。

何より打撃を与えたのは提供した商品に対して高値をつけすぎたことだろう。アマゾンプライムの年間メンバーシップ(99ドル)をもってしても良質なハードウェアに良質なアプリという顧客要望に応えられなかったのだ。Fire Phoneは実質アンドロイドのカスタムバージョンだが、搭載されているのは最低限の機能で、結果アマゾンがFireユーザーに提供できたのは小さなアプリストアとプリインストールされたソフトウェアのみだったということだ。

それにFire Phoneは、iPhoneやその他同価格帯のアンドロイド端末と比べるともろく、安っぽさも感じてしまう。

そうした短所を改善するためにアマゾンはFire Phoneに4つのカメラを搭載したカラフルで鮮やかなインターフェースを通じてホームスクリーンに「ダイナミックパースペクティヴ」と呼ばれる3Dのようなギミックを付けた。それだけでは終わらない。『Firefly』というカスタムアプリはアイテムにカメラを向けるだけで被写体となった製品をamazonの買い物カゴに入れることができるのだ。

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しかし技術的には面白いアイデアだったものの、根本的な解決には至らなかった。ダイナミックパースペクティヴとやらにはさほど魅力を感じないし、Fireflyに関しては広告を前面に押し出しているようで少々気味が悪い。スマートフォンはいまやプライベートなアドレス帳、エンタメ、そしてソーシャルな部分全てを網羅してくれるため、たかだか物を買うだけのために200ドルを支払うことは考えられない。

アマゾンに掲載されているFire Phoneの商品ページは3000以上もの評価が付いているが、“5つ星中2つ”と、ほとんどがマイナス評価だった。

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