マフラック(ヨルダン:和平合意による免税特区)の金属加工業で働くパレスチナ系の青年【撮影/安田匡範】

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チュニジア、エジプト、リビアと革命が続く中東。今でも毎日のように、テロや紛争のニュース が絶えません。なぜ中東では革命や政変がこんなに起こるのでしょうか。今回は「パレスチナ問題」を考えるうえで欠くことのできない疑問、「パレスチナ人とは誰なのか?」についてです。

 パレスチナ人を定義する前に、まず「パレスチナ難民の定義は?」という質問に変えて説明したいと思います。

 国連には1950年からパレスチナ難民に対する救済事業のみを行なっている特別な機関、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)があります。このUNRWAによれば、「パレスチナ難民とは、1946年6月1日から1948年5月15日(前日の14日がイスラエルの建国記念日)の間にパレスチナ地域に居住していたが、家と生計を失った者とその子孫」となっています。UNRWAが2013年1月に支援しているパレスチナ難民の数は約530万人といわれています。

 そして、UNRWAは現在、ヨルダン、シリア、レバノン、ガザなどにある、58カ所の難民キャンプの支援を行なっているほか、2000年以降はイスラエルによるガザの攻撃の際にも緊急人道支援を行なっています。難民キャンプというと簡易テントの並んだ風景を想像しますが、初期のころからある難民キャンプは、今では「街」になっています。「ここが難民キャンプです」と説明されないかぎり、外国人には普通の街と区別できないぐらいです。

 ですが、このパレスチナ難民の定義は、あくまでも「支援」を受ける人を確定するための狭い定義でしかありません。パレスチナ人の数は全世界で930万といわれていますが、実はパレスチナ人には明確な定義はありません。パレスチナと呼ばれる地域に住んでいる人と、かつて住んでいた人の子孫ぐらいのあいまいな定義なのです。

 パレスチナ人口の居住地域別の内訳上位10位は、パレスチナ自治区(376万)、ヨルダン(270万)、イスラエル(131万)、チリ(45万〜50万)、シリア(43万)、レバノン(40万)、エジプト(7万)、アメリカ(6.8万)、ホンジェラス(5.4万)、クウェート(5万)となっています。

 それではさまざまな国に離散しているパレスチナ人たちが、どのような環境に置かれているのかについて、ざっと国別にみていきたいと思います。

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