写真提供:マイナビニュース

写真拡大

9月の内閣改造で起用された小渕経済産業大臣と松島法務大臣が10月20日、相次いで辞任した。本コラムを書いている時点では、小渕氏の政治資金、松島氏のいわゆる「うちわ」に関する公職選挙法との関連のいずれも最終的な決着はついていない。すでに多くのニュースやコラムが掲載されていることもあり、今回は「キャリア」という切り口で、私が感じたことを書かせていただく。

○重大な責任にある人が気を付けるべきポイント

まず、小渕氏の件で私が最初に感じたのは、「責任の取り方」についてだ。

今回のケースも含め、不祥事により自ら責任を取らざるを得ないことは閣僚として望ましいことではない。これは言うまでもない。しかし現実には、閣僚に限らず一般のビジネスパーソンであっても、故意の有無には関わらず自ら責任を取らねばならない状況に陥ることがある。自らが事業を経営していたり、企業や組織内でのポジションが高くなるに連れて、この責任は重くなる。社会的に重要なポジションにある者が、自らの進退に関わるような重大な責任をとらねばならない窮地に陥った時、気をつけるべきポイントが3つあると思う。

・「地位に恋々としている」と周囲に思われてはいけない。・他人に「責任をなすりつけている」と思われてはいけない。・「実は反省していない」と思われてはいけない。

今回の件で小渕氏自身がどこまで関与していたのか、あるいは管理責任のみだったのかは現時点ではまだ分からないが、上記の3つのポイントについて、どのように思っただろうか。辞任をしたからといって自らの責任の全てが許されるわけではないことは当然だが、本件での辞任の決断は、私が想像していたよりも早く、そのことが印象に残った。

○「付け込まれる」隙をつくってはいけない

一方、松島氏の件で私が感じたのは地位のある者は「付け込まれてはいけない」という視点だ。

法務大臣というのは日本の司法行政のトップである。法律に違反し罪を犯した者を、法律に基づいた裁判の結果、死刑に処する場合、死刑執行命令を発する権限と義務を持つ。国を当事者とする訴訟においては、法務大臣が国の代表となる。また、非常に稀ではあるが、個々の事件の取調べや処分において、検事総長に対して指揮権を発動するという絶大な権力を持つ重職でもある。従って他の大臣ポスト以上に法令順守という点では潔癖でなくてはならない。なぜならば自らの法令順守の姿勢に少しでも疑わしき事実があれば、その一点をもって他人から「付け込まれる」可能性があるからだ。他人から「付け込まれる」可能性がある者が国家権力を握っている状態というのは、社会的なリスクが非常に高いといえる。

かつてアメリカにおいて、現職の大統領がホワイトハウス内で女性と「不適切な関係」を持ったと告白したスキャンダルがあった。大統領が引き起こしたスキャンダル自体が望ましいことでないのは当然だが、アメリカ国民に対して説明責任を果たすことで、国家にとって望ましくない勢力や個人によって大統領が「付け込まれる」隙を排除したという面もあると考える。

「付け込まれる」ことのリスクというのは、普段我々が日常生活を送る上では、あまり意識をしないことだが、大統領や現職大臣に限らず、社会的な地位が高い人であればあるほど、より強く意識するべきである。

たかが「うちわ」だが、されど「うちわ」だ。この「うちわ」の一件を国民が知る前に、良からぬ人物や勢力や国家が先に知り得てしまった場合にどのよなリスクがあるかと考えてみれば、大臣職の辞任もしくは、全ての事実を明らかにした上で、国民の審判を仰ぐことは不可避だったと思う。

<著者プロフィール>片岡英彦1970年9月6日 東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。(現 株式会社東京片岡英彦事務所 代表取締役)主に企業の戦略PR、マーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。2011年から国際NGO「世界の医療団」の広報責任者を務める。2013年、一般社団法人日本アドボカシー協会を設立代表理事就任。