ドイツのサーキット ホッケンハイムリンクで、アウディが自動走行システム搭載車 RS 7 コンセプトによるタイムアタック走行を実施しました。完全に無人のRS 7 が見事なライン取りでサーキットを攻める映像は続きでごらんください。
各国の自動車メーカー間では、自動運転技術の開発競争が激しさを増しています。ドイツではメルセデス・ベンツが自動でアウトバーンを走行するトラック Future Truck 2025 をアピールする一方で、BMWは検索大手の百度(バイドゥ)と提携し、中国で使用可能な自動走行システムを開発中です。

アウディもまた、早くから自動走行技術の開発に取り組んでいるメーカーです。2010年にはスポーツカーの TTS に自動走行システムを搭載し、パイクスピークのヒルクライムコースを完走。その後も、狭い駐車場での自動パーキング機能、渋滞環境下での自動走行機能などを発表しています。今年初めには、自動走行システムの根幹部 zFAS の次世代パッケージに NVIDIA Tegra K1 プロセッサーを採用したことも話題となりました。

10月17日、アウディは新しい自動走行システムを搭載した RS 7 のティーザー動画を公開しました。内容は、アウディが世界に誇るハイブリッドレーシングマシン Audi R18 e-tron quattro Hybrid を、無人の RS 7 Sportback が追い回すというものでした。
 
そして迎えた10月19日、ドイツ ツーリングカー選手権(DTM)最終戦の舞台ホッケンハイムリンクで、ティーザー動画の RS 7 コンセプト が観衆の前に姿を現しました。
  

RS 7 に搭載された自動走行システムは、高精度 GPS による測位データと、フロントガラス内側に設置したステレオカメラの映像を照合しながら位置把握をするしくみ。これに速度センサーやジャイロセンサーからのデータも加えて演算し、アクセル/ブレーキとステアリングをコントロールします。
 

 
ホームストレート上、ポールポジション用のスターティンググリッドに停止した RS 7 は、グリーンフラッグが振られると脱兎のごとく加速。あっというまに1コーナーへ飛び込んでいきます。ホイールロックなど皆無のブレーキング、流れるようなライン取りでコーナーをクリアしていく RS 7 の姿は、とても無人走行とは思えません。時おり見られるコクピット内の映像では、微妙にステアリングを調整するさまがかえって人間臭く感じられるほどです。

相当な速度域で走行しているにもかかわらず一度も姿勢を崩さないその走りっぷりは、実況アナウンサーの言葉を借りて言えば、「まったくもって完璧」でした。そして、最終コーナーを全開で立ち上がった RS 7 は徐々に速度を落とし、その車体をスタート前と同じグリッドにピタリと停めてみせました。
 

 
公式な記録ではありませんが、そのラップタイムはアウディによれば2分10秒前後。無人であること、最後は減速したことを考えれば、同じコースでレクサス LS F が2007年に記録した 2分4秒45とも遜色ないタイムといえるでしょう。

走行後、アウディAG 研究開発担当取締役の Dr.ウルリッヒ・ハッケンベルクは「精密かつ高いパフォーマンスを成功させたことは、我々のこれからの開発に大きな価値をもたらすでしょう」と語りました。

ちなみにホッケンハイムリンクのコースレコードは、2004年にマクラーレン・メルセデス F1 をドライブするキミ・ライコネンが記録した1分13秒780。ロードカーのラップタイムデータベースサイト Fastestlaps.com による市販車最速タイムは、887psのモンスターマシン、ポルシェ918スパイダー ヴァイザッハ・パッケージが記録した1分48秒50です。

なおアウディはこのあと行われた DTM 最終戦で1〜3位を独占。昨年は BMW に奪われた DTM マニュファクチャラーチャンピオンの座を奪還しました。