安倍政権の経済政策「アベノミクス」はその効果についてはよくとりあげられるが、実際に経済を好転させているのか。マクロの予測だけでははかれない、ミクロの街角景気について大前研一氏が解説する。

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 安倍晋三政権は今年の年末で丸2年が経過する。昨年の参院選で自民党は安倍首相の経済政策「アベノミクス」により、今後10年間の平均で名目GDP(国内総生産)成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度の経済成長を実現するという公約を掲げた。しかし、今年4〜6月期の実質GDPは、年率換算で7.1%も減少した。

 日本経済研究センターの調査によれば、主要民間エコノミストたちは7〜9月期の実質GDPを10月調査時点では年率換算で平均3.66%増と予測しているが、そうしたマクロの統計とは別にミクロの街角景気を探ってみると、この夏の景気は良くなっていない可能性が高い。

 先日、軽井沢の駐車場経営者から興味深い話を聞いた。駐車場の料金精算機に入っている金種は、景気が良い時は1万円札とピン札が多くなり、景気が悪い時は1000円札や100円玉としわくちゃのお札が多くなるそうだ。中間の時が5000円札と500円玉というのも面白い。

 そして今夏は、バブル崩壊後の1990年代や2008年のリーマン・ショック後よりも1万円札とピン札が少なく、1000円札や100円玉としわくちゃのお札が多かったというのである。エコノミストたちの“予言”より、そうしたミクロな消費動向のほうが、景気をリアルに反映することもあるのだ。

※週刊ポスト2014年10月31日号