限定商品や割引券、食事券などがもらえる株主優待制度が盛り上がっている。制度を導入する上場企業の数はすでに千社を超え、過去最高だ。“株主優待王”としてお茶の間で有名になった、元プロ棋士の桐谷広人さん(64)はこう言う。

「新設する会社が相次いでいますよ。現在は上場企業の1200社弱、全体の3分の1が優待制度を導入している状況です」

 優待制度は、昭和のはじめには電鉄会社や映画会社など数社しかなかったという。バブル崩壊後、株価が低迷したため、「個人株主の獲得」を目指してどんどん取り入れるようになった。

 エフピーウーマン取締役でファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは、この現象を「よき相互作用だ」と話す。

「いい優待であれば、個人投資家は多少株価が下がったとしてもすぐには売らないでしょう。このため、長期保有につながることが多いのです」

 また、優待が付いていると、家族に受け入れてもらいやすい面もあるとか。

「妻のご機嫌をとるために化粧品会社の株主になる夫もいます。女性の中には株をギャンブルと同一視して尻込みする人もいるようです。しかし、人気商品をもらってイメージが変わり、夫は堂々と株を買えるようです」(高山さん)

 優待は若い女性にもじわじわと浸透している。優待生活を綴るブログで圧倒的人気を誇る30代のブロガー“かすみちゃん”(本名非公表)も、優待を満喫する一人。今年に入って「一度も貯金を下ろしていない」というから驚きだ。

「優待がもらえる銘柄を100くらい持っているため、優待品だけで生活がまかなえちゃう。じゃんじゃん品物が届くと、プレゼントをもらうアイドル気分(笑)」

 かすみちゃんは約10年前、東急電鉄の株を初めて買ったという。

「優待の意味がわからずに最初は優待乗車証(無料乗車券)を捨てていた。同じ券が金券ショップで売られているのを発見して、価値があるんだと目覚めました」

 いまは低金利の銀行預金をやめて、利回りの高い優待銘柄を貯金感覚で持ったり、よく利用する店や好みのブランドのカタログギフトがもらえる優待銘柄を選んでいるという。初心者であれば、こんなふうに「好きな優待」から株に挑むのもおすすめだという。

週刊朝日  2014年10月24日号より抜粋