『野球太郎No.012〜2014ドラフト直前大特集号』(廣済堂出版)
ドラフト会議は10月23日(木)です。

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いよいよ、10月23日(木)のプロ野球ドラフト会議が目前に迫ってきた。他競技のファンには理解できないことかもしれないが、野球ファンの中には、「何はなくともドラフトが好き」というファンもかなり多い。それゆえこの時期、書店のスポーツコーナーはドラフト特集号で満載となる。

特に今年はドラフトが誕生して50年目(※1965年が第1回ドラフト)。高校生の注目選手も多く、ドラフトに対する期待度は高い。

数あるドラフト本の中でもオススメは、ドラフト特集号最厚の256ページを誇る『野球太郎No.012〜2014ドラフト直前大特集号』だ。今年のドラフトの超目玉、安樂智大(済美高)が目印。

巻頭カラーページの「ドラフト候補名鑑80名」を押えておくだけでも、23日のドラフト対策は万全。自分の好きな球団のドラフト戦略を知りたい場合は「12球団別チーム編成&ドラフト戦略徹底分析」が嬉しい。

ただ、情報の多寡の差はあれ、これらの特集はどの雑誌でも掲載されることが多い、いわば定番情報だ。むしろ今年の『野球太郎 ドラフト特集号』で特にオススメしたいのが、どの選手がプロで活躍できるのか? 未来視点で組まれた3つの記事になる。

◎オススメ記事(1)元横浜高校小倉清一郎コーチ登場!

ひとつ目は“高校球界の頭脳“こと、今夏で横浜高校野球部を退任した小倉清一郎コーチによる《「プロで成功するヤツ」はここが違う》。小倉コーチの回答はズバリ「他の高校の選手よりも“野球を知ってる”」ということ。

プロで活躍する横浜高校OBを指して「結構使えているじゃないですか? 生き残っている。それは“野球”を教えたからです」「特にプロに行けそうな選手は特別メニューを組んで教えましたよ」という言葉からは、自身の指導力に対する絶対的な自信とプライドが垣間見える。

◎オススメ記事(2)ドラフト候補「4スタンス理論」診断

2つ目は、《[4スタンス理論]で見るドラフト候補》。最近、他競技においても耳にすることが多い「4スタンス理論」の提唱者、廣戸聡一による進化の可能性を探る記事だ。

「4スタンス理論」とは、人間の身体特性が、重心の位置から「つま先内側」「つま先外側」「かかと内側」「かかと外側」の4タイプに分かれるというもの。これは、どれがいい悪いではなく、それぞれのタイプごとに正しい体の動かし方や正しいフォームがある、ということで、そのタイプによって将来像を診断していくのが面白い。

ちなみに、「つま先内側」の代表例はイチローやダルビッシュ、本田圭佑(サッカー)、石川遼(ゴルフ)。「つま先外側」の代表例は王貞治、タイガー・ウッズ(ゴルフ)、ウサイン・ボルト(陸上)。「かかと内側」は長嶋茂雄、黒田博樹、室伏広治、為末大(陸上)。「かかと外側」は松井秀喜、田中将大、中村俊輔(サッカー)、丸山茂樹(ゴルフ)などが当てはまるという。

たとえば、安樂智大は「つま先」タイプ、有原航平(早稲田大)は「かかと」タイプ。高橋光成(前橋育英高)は……という感じで、今回のドラフト注目選手を診断していく。なぜいい選手なのか、という点だけでなく、4スタンス理論的な「課題」も列挙していて、実に読み応えがある。

◎目利きが提唱 「字がうまい投手はプロでも大成する」?

そして3つ目が、スポーツライター谷上史朗による《プロでやれるのはこいつだ!》。毎年の新人王選手を的中させるだけでなく、中田翔(日本ハム)がプロ入り後しばらくは苦戦する、といったマイナス面までも言い当ててきた目利きが、プロで活躍する選手たちの共通点を列挙していく。

特に興味深かったのが、「字がうまい投手はコントロールがいい」という点。このエピソードは別ページの安樂投手に関するコラムでも詳しく紹介されている。ドラ1選手などは、指名後に目標などを色紙に書くので、今年はその「サイン」もぜひチェックしたい。

『野球太郎』といえば、ライター安倍昌彦の「流しのブルペンキャッチャー」が名物企画だったが、今号からは元プロ野球選手(DeNA)のスポーツライター高森勇旗による「ドラフト候補掴み取り! ブルペンキャッチャー・高森勇旗」なる新コーナーもスタート。従来のスカウト目線やマニアックなライター目線に加えて、元プロ目線からもドラフトが楽しめるようになった。

今から買った場合、ドラフトまでに全ページを読むのは至難の業。でも、ドラフト会議後も答えあわせ感覚で楽しめるので、十分楽しめるはず。

ちなみに兄弟サイト「週刊野球太郎」(スマホマガジン)では、「ドラフト50年仰天エピソード集」なる特集ページで私もライターとして参加しているので、そちらの方もよろしくどうぞ。
(オグマナオト)