進化するテクノロジーを思いきり楽しむ。それでいいと思う #wiredcon

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「テクノロジーは、つねに明るい未来をつくりだす」。10月10日に開催した「WIRED CONFERENCE 2014」。未来の都市のありかたをテーマに数々の登壇者が語ったなかから、来日したケヴィン・ケリーによる言葉の数々を、ガジェットメディア『ギズモード・ジャパン』の元編集長、大野恭希が紹介する。

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満員のWIRED CONFERENCE 2014、閉幕
2020年に向け、東京は大きな進化を遂げようとしている。これからの都市に何が求められ、どう変わらなければならないのか。会場を満員にした250人超の参加者に向け、壇上では10人のヴィジョナリストが都市論を繰り広げた。当日の様子は、WIRED本誌(11月25日発売)にてレポートするほか、#wiredconでも追体験できる。

都市と聞いて何を思い浮かべるだろうかというと、ぼくは、すぐさま「シムシティ」を思い浮かべてしまう。

初代から遊び始め、『シムシティ2000』『シムシティ3000』『シムシティ4』と遊び続けたシムシティ・シリーズは、最新作ではオンラインプレイが可能で、見知らぬプレイヤー同士、都市と都市とを接続することができる。

先日開催された「WIRED CONFERENCE 2014」に登場したUS版『WIRED』初代編集長ケヴィン・ケリー。「都市はテクノロジーである」と題して彼が語った内容を聞いていて、そんなシムシティやインターネット・ネットワークのことを思い出さずにはいられなかった。

ケリー氏は「テクノロジーはネットワーク」だと言う。ネットワークは都市の結びつきも指す。いま、“地球レベル”の大都市が出来上がっている。都市と都市とが接続され、国と国が接続されていく様はそのまま、ひとつの大都市を形成している、というわけだ。

彼は、人間の頭脳が地球サイズになっていると続ける。地球上の都市は、脳のニューロンのように神経細胞としての機能を果たしており、情報処理・伝達機能を備えている。

インターネットもそうだ。インターネットは必ず地球上のどこかと繋がっていて、家庭内のLANの集合体が地域別のWANをつくり出し、国と国を接続可能にしている。

ケリー氏は続けた。「テクノロジーは良い方向に向かっている。より良いテクノロジーにする過程で問題が発生し、さらなるテクノロジーが必要になる。テクノロジーは可能性を生成し、自由を与えてくれる──」。

ケヴィン・ケリーの“ファン”を自認する、ライゾマティクスの齋藤精一。彼が『テクニウム』について書き下ろしてくれたこちらの記事も、あわせてご確認を。同書については、嶋浩一郎も書評を寄稿してくれている。

続けて行われたのは、ケヴィン・ケリーとライゾマティクス齋藤精一との対談だ。

対談は齋藤氏からの質問から始まる。「テクノロジーやインターネットは当たり前の存在になって、どこにいても繋がることができるようになった。ならば、都市に住む必要はなくなるのではないか?」

ケリー氏の答えはこうだ。「インターネットがあれば辺境にだって住めると思ってる人がいるかもしれないけれど、そうはならない。なぜなら人はフェイス・トゥ・フェイスでなければならないから。都市はインターネットの帯域じゃない。都市がもっている、機会を提供するという機能はとても重要だ」。

また、ケリー氏はこうも言う。「子どもたちが利用するテクノロジーを制限することはもちろん大事だ。でも、それは大人であっても変わらないのではないか? ディスコネクト、つまり休むことが重要で、一瞬にせよ接続を切ることを憶えると、インターネットはクリエイティヴな装置になり得る」。


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「日々積み重なる進化は、良い方向に向かっていると信じている」と続けるケリー氏。「いまある暮らしをやめて、アマゾンの熱帯雨林に行くような人はいないんじゃないか。すべての人にあらゆる選択肢が与えられているし、テクノロジーは生活を良くしている。進化は確実に進んでいるし、その方向性はディストピアにならないようなハッピーストーリーに向かっている。明日はいつも、明るい」。

「新しいテクノロジーを好んで使わない人もいる。そうした人にも、テクノロジーを使わせる必要があるのか?」という、来場者からの質問に対するケリー氏の答えが印象的だった。

「選択肢があることが重要。アメリカのアーミッシュのように、テクノロジーを使わない人たちだっている。つまり、人はそれを選べる、ということだ」

都市とテクノロジーについては、こちらの一覧からもチェックを。

ぼく自身、デヴァイスが好きでウェブが好きで、新しいものにはとりあえず飛びつく。そして、自分に必要なものは残し、必要がないと判断したものは切り捨てる。新しいデヴァイスが誕生することでウェブは発展し、ウェブが発展することでデヴァイスはさらに進化する。そんな循環をする世界で生きてることに楽しみを見出す人間だ。だから、ケヴィン・ケリーが語りかけてくれた「テクノロジーは良い方向に行っている」という言葉には、同調せずにはいられない。

(関連記事)今からでも遅くはない:ケヴィン・ケリーから2014年の起業家たちへ

そういった人間だから、昨今のセキュリティ問題を横目で見つつも、テクノロジーには楽観的な見方をしている。テクノロジーがあることでこの世界の生活はより便利なものとなると信じ切っていて、生まれてからずっと、意識することなくテクノロジーを受け入れている感じさえする。

これから先の将来を考えてみても、ぼく自身はテクノロジーを思いっきり楽しんでいるはずだ。生活へふんだんにテクノロジーを取り入れている自分を想像するのは難しくない。

ぼくに子どもができた場合もちらっと想像してみる。彼らが小さなころからスマートフォンをはじめとする最新のテクノロジーに触れることに、いまのところ抵抗はない。テクノロジーが身近にある生活をごく自然に送り、世界がどういうものであるか、そしてどうなっていくかを知ってほしいと思う。テクノロジー漬けになっていたからこそ、いま、人との関わりが重要であることに気づかされた自分としては、そういった生き方も悪くないと思うからだ。

この原稿を書き終えたちょうどそのとき、アップルがまた新しい製品を発表していた。またテクノロジーが一歩進んでいくんだなと実感する。

WIRED CONFERENCE、また来年も
2012年にはメイカームーヴメントの到来を、2013年にはオープンガヴァメントを読み解いた。生活のあらゆる側面におけるテクノロジーの存在を浮き彫りにすべく、WIRED CONFERENCEは、来年も開催するべく、準備を進めている。今回、残念ながら来られなかった読者の方にも、語るべき次代のテクノロジーのアイデアを、#wiredconで投げかけてもらいたい。

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