流行に敏感なコンビニエンスストアがいま力を入れているのがスナック菓子だ。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

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 コンビニの棚には現代の食事情が詰まっている。店内全域で各コンビニのプライベートブランド(PB)商品が存在感を強くしていて、ドリンクフェースにはトクホ飲料がズラリと並ぶ。雑誌のスペースは縮小され、カウンターまわりに置かれたホットスナックのスペースは倍増した。

 そしてこのところ、目を引くのがスナックコーナーだ。実はコンビニのスナックは、売れ行きが減少傾向にあるという。それもそのはず、来店客が年々高齢化しているからだ。

 セブン-イレブン・ジャパンが来店客の年齢階層データを公開しているが、この10年で来店客の高齢化は確実に進んでいる。そればかりか日本の人口構成比と照らしあわせてみると、もっともスナックを購入する層の20〜30代のコンビニ離れが進んでいる。メーカーとしてはあの手この手でユーザーへの訴求をはかることになる。

 最近のスナックの棚には「期間限定」の文字が目立つ。もともと季節の変わり目となるこの時期にはさつまいものスナックなどが増える時期ではあるが、今年はそうした「旬の食材」以外の「期間限定」商品が目立っている。

 スナック最大手のカルビーを例にとってみると、看板商品のポテトチップスで「のりしおトリプル」という「のり300%使用」アイテムを投入した。その前には中華調味料の「味覇(ウェイパー)味」なども展開していたし、他のブランドでも「じゃがりこ」には「かぼちゃグラタン味」、「Jagabee」では「チーズ明太子味」なども展開。さらにはロッテの「ガーナ」チョコレートブランドとWネームで「Ghana Black Chocolate & かっぱえびせん」という商品も期間限定で発売している。

 湖池屋も新じゃがを使った「頑固あげポテト」3種を11月まで発売。おやつカンパニーも看板商品である「ベビースターラーメン」に人気の激辛ラーメン店「蒙古タンメン中本」とのコラボ商品「北極ラーメン味(超激辛みそ味)」と「蒙古タンメン味(超旨辛みそ味)」を投入している。

 限定商品には「希少性の法則」が働くと言われる。手に取ることのできる期間・数量が限定されたとき、その商品に対する評価が高くなる。またJ.W.ブレームが提唱した「心理的リアクタンス理論」(自由の喪失危機に直面した時、個人はその自由を保護し、回復するよう動機づけられるという理論)という面からも説明できる。「期間限定」は必ず「喪失」を伴う。その喪失を避けるために、人は期間限定商品を手にとってしまう。

 去りゆくものへの抗いがたい魅力を4文字に込めた「期間限定」は、そもそも飲料やアイスクリーム、おでんといった季節商品の独壇場だった。乱発すれば消費者に飽きられるリスクもあるが、ホットスナックなどコンビニの店内の競合はますますその存在感を強めている。果たして「期間限定」は魔法の杖か、禁断の果実か。