リアルタイムで次の行動を導く「未来予測アプリ」:東大の研究チームが開発

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将来の忙しさの状況を予測して、週間予報のように知らせてくれるアプリと、いつどこでどのくらいお金を使うかを予測するアプリ。東大の研究チームが開発した2つの「未来予測アプリ」を紹介。

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ちょっと先の未来の自分の行動を予測して知らせてくれるiPhoneアプリを東京大学の研究チームが開発した。予定や実際の行動、レシートを記録しておくと、数日先の忙しさやタスクの状況、時間ごとにいつどこでお金を使うかといった予測を知らせてくれる。

「こうなることがあらかじめわかっていれば、あのときやっていたのに」。そう思った経験は誰しもあるだろう。人の行動などあらゆる情報を記録する「ライフログ」の研究を行っている東京大学廣瀬・谷川研究室が開発した2つのiPhoneアプリは、それぞれ未来のタスク状況と消費活動を予測して知らせてくれる。

タスク状況を知らせてくれるアプリ「WillDo」は、日々のタスクと所要時間、スケジュールと実際の1日の行動履歴を入力していくと、1週間ほどで予定に入れなくても将来の忙しさの状況を予測して週間予報のように知らせてくれる。使い続けるほど予測の精度は上がる。

一方、まるで天気予報のように、地図上にいつどこでどのくらいお金を使うかを予測してくれるアプリが「消費予報」だ。お金を使う可能性が高い時間帯には注意報や警報を表示する機能もある。レシートを記録するだけで、アプリが自動的に予測をしてくれる。

「未来の自分の行動を見ることで、わたしたちの行動は変わります。それによってその先の未来予測が変わり、さらに行動が変わります」と同研究室の鳴海拓志助教は説明する。人や環境のなかに存在するデータの流れを活用してフィードバックを返すことで、自ずとその人にとって最適な行動に変わっていくと言う。

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リアルタイム予測を可能にする「マッシヴデータフロー」

人や環境中に存在するあらゆるデータの流れは、「マッシヴデータフロー(Massive Data Flow)」と呼ばれる。膨大なデータの利用といえば「ビッグデータ」が注目されて久しいが、そこで扱うデータの多くは過去に取得された静的なものだ。

一方、「マッシヴデータフローではデータの流れを活用するため、リアルタイムでデータを取得して、その解析結果を動的にフィードバックすることで、人の行動や環境そのものを変化させることができます」と鳴海助教は説明する。また、その結果生じたデータはそのサイクルのなかで活用されるため、さらに環境や行動の変容が進んでいくというわけだ。

ライフログは過去の情報を蓄積していくが、「これを活用して未来を見通すことができれば、現在よりよい選択をできるようになるのに」と鳴海助教は考えた。そこで、未来を予測し、フィードバックする研究に着手することにした。

研究を進めると、フィードバックする結果を恣意的に操作することで、利用者が意識しないままに行動を変えられることもわかった。同研究室では、食事の写真や感想をオンライン上に共有し、ほかの利用者(評価者)から感想を受け取ることができるスマートフォン向けアプリを使い、評価を恣意的に変えることで利用者の食生活を改善することに成功している。

このアプリでは、食事の写真を投稿すると評価者はその写真を見て「おいしそう」「ヘルシーそう」などの感想で評価をする。食生活を改善したいと思っても、栄養バランスが良くカロリーが低い「ヘルシーそう」な食事だと満足度が下がりがちだ。

そこで実験では、評価者が「ヘルシーそう」と評価をしたら利用者には「おいしそう」とフィードバックするように、2つの評価をすり替える操作を施して、利用者の行動がどのように変わるかを調べた。その結果、評価をそのままフィードバックするときと比べて、評価をすり替えると食事への満足度が高まり、食生活が改善された。

「使い方には注意が必要ですが、うまく活用すれば自分で意識したり努力したりしなくても、生活習慣や行動を改善できるようになるかもしれません」と鳴海助教は言う。

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