集中連載や、打ち切り作品。単行本化されなかった本は今まで山ほどあった。印刷はそう簡単にできない。しかし電子書籍なら、配信できるのではないだろうか? 読者の手に届くのではないだろうか。

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マンガ『ジョギリ屋ジョーがやってくる』が、Kindleストアをはじめとした電子書籍で発売されました。
やっと出た!

作者フクイタクミは、この作品の後にチャンピオンで『ケルベロス』や『ハーベストマーチ』といった作品を連載。単行本を何冊も出しています。
しかし『ジョギリ屋』はどうしても単行本が出なかった。

なんでもハサミで切ってくれるジョギリ屋ジョー。
どんな人が願っても、どんな相手でも、ハサミで切る。ただし願った相手もどこか斬られる。
オムニバス形式で、人の選択のあり方を問うハードな内容と、ばっさり斬った人間の断面図が映える作品でした。

2009年に集中連載されていた時から、まあ絶対単行本は出ないだろうなとぼくも諦めかけていて、切り抜きを保存していました。
ついに、5年越しで単行本が出た。
やったよ! 電子書籍バンザイ!

電子書籍は、現在あらゆる方法で、幻になったマンガを救済しています。
現在「電子書籍でのみ配信されている作品」は、いくつかの種類に分けられます。

1・元々ネット配信・電子書籍のみのために描かれた。
2・単行本が出ていたものの途中で打ち切りになり、続巻が出なくなった。
3・集中連載などで、書籍化の目処が最初からたっていなかった。
4・絶版で、今から再版しても採算がとれるかわからない。

1はケータイコミックやWEBコミックに多いパターン。電子書籍専門レーベルも存在しています。
最初から電子書籍前提に描いているので、まとめて配信するのはさほど難しくないでしょう。

問題は2以降です。
「続巻がでない」マンガは、本当に多い。1巻は出たけど、2巻が出ない。
読者としてはやりきれない。頼むよ出してくれよ、1ってここに書いてあるじゃん!という気持ちでいっぱいになります。
最近は「1巻」をつけないで出版、2巻以降出たら数字をつけることもあるくらいです。
もっとも出版社側の立場になれば、わかるんです。印刷費のことを考えて果たして黒字になるのかどうか。どんなに情熱を持っていても、売れると判断できなきゃ出せない。

3も同じでしょう。今回の『ジョギリ屋ジョーがやってくる』はまさにその例です。
どんなに名作だと読者が思っていても、集中連載ものや読み切り短編は、そうそう本にできない。
単行本としてのページ数に満たない読み切りになると、なおのこと印刷は難しくなります。

4は、復刊ドットコムなどでみなが熱い思いを寄せているのを見ればわかるように、読者の悲願です。
もう絶対手に入らない本。重版がかからず幻になってしまった本。
読みたい! でも無理! プレミアもついちゃってる。流通量も少ない。

2から4は、どれをとっても、読者も作家も出版社も、不幸でしかない。
しかし、今回の『ジョギリ屋ジョー』のように、電子書籍でリリースできれば、救済することが可能なんじゃないか。

例えば『暴虐外道無法地帯ガガガガ』という、ハードコアバイオレンス作品。
1巻はヤングマガジン、2巻から4巻は月刊アフタヌーンから出版されました。
ただ、そこで物語は完結していません。
2007年に講談社の携帯漫画サイトMiChao!に移籍され、2010年までに残りのパートが配信されました。
4巻までは手に入る。しかし5巻が幻になってしまった作品です。
その5巻めが、2013年に電子書籍として発売。ファンにはたまらない出来事でした。

2010年以前と今では、読書環境は激変しつつあります。
紙の本で読む人の方が圧倒的に多いのは間違いありません。
しかしスマホやタブレットがすごい勢いで普及し、Kindleをはじめとした電子書籍なら買う、という人もどんどん増えています。理由は「場所をとらないから」「手軽だから」「安いから」などなど。
今は、パソコンでKindleの本が読めるようになりました。
パソコンでもKindleの本が読める「Kindle Cloud Reader」の使い方解説 - エキレビ!
このタイミングなら、お蔵入りした数々の漫画や小説が、リリースできるはず。

電子書籍の売上が出版業界を救う、とは言いません。何回「電子書籍元年」と言われたことか。
このへんは鈴木みそ『ナナのリテラシー』が詳しいです。
まだまだ全体の売上に対する割合の少ない電子書籍が、いきなり経済を覆すことは、まだないかもしれない。
でも、出ない本より、出る電子書籍。
もっと言えば、作家が自分の作品の権利を買い取って、電子書籍の自主出版をすることだってできる。
『ナナのリテラシー』のセリフを借ります。
「電子書籍は、よりマイナーな……カルトな作家を救います』

『ジョギリ屋ジョーがやってくる』

(たまごまご)