強すぎるテスト色に困惑も…本田「監督は意図を持っているが」

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[10.14 国際親善試合 日本0-4ブラジル シンガポール]

 もどかしさを隠しきれなかった。滅多に当たることのできない、世界トップクラスの強豪ブラジルとの対戦。しかも、日本のホームではなくシンガポールという中立地での戦いが完全なる“新顔のテスト”の場となったことに、FW本田圭佑(ミラン)は何とも言えない表情を浮かべるしかなかった。

「監督は、意図した計画を持って、アジア杯に向けて物事を進めているんでしょうけど、選手はやはりチャンスを与えられたからには、そこで結果を出せなかったのは残念のひと言です」

 煮え切らない言葉はその後も続いた。

「ブラジルだからこそテストになりえるということもある。考え方は両面があると思う。監督がそういう(テストという)ビジョンを持って進めていくのは当然だろう。でも、選手たちは勝ちたい。後半は自分も出て、何かしら結果を出したかったという気持ちはある」

 アギーレ監督の思惑を理解しようとしながらも、貴重なブラジル戦で「勝負」という土俵にすら上がれなかったことを嘆き、歯噛みしているような表情も浮かべた。

 先発を外れ、出番が回ってきたのは後半からだった。4-3-3のウイングとして攻撃の一翼を任された。しかし、見せ場という見せ場はなかった。中盤でボールを失い、カウンターを食らう場面を前線から何度も目撃した。もちろん、すぐに切り替えて守備もしたが、発足から間もないチーム、しかも新戦力のテストを繰り返している現状では、チームとしてカウンターを止めることはできなかった。次々とネイマールに決められた。

 だが、それ以上に本田のもどかしさを膨らませたのは、ゲームメークに参加するポジションではなかったということかもしれない。ゲームメークをした方が良かったのではないかという質問に対しては、しばし思案しながら「ちょっと整理は必要だとは思うけど、(監督は)変えるつもりはないと思っている。それだと意味がないというのはある。今のところは」と言った。新監督の下、ザックジャパン時代と同じではさらなる進化を望めないのではないかという思いも、背番号4にはあるのだ。

 初対戦した2012年10月16日のスコアも0-4だったが、あのときは「悔しいけど、サッカーをやっていて久しぶりに楽しかった」と目を輝かせていた。

 2年後、同じスコアでの惨敗で感じたのは、ストレートな悔しさだけではなかったはず。しかし、本田はあえてスコアに意識を集中させ、「1-0より4-0での負けはダメージが倍増する。初めてブラジルに負けた日とは比べものにならないほど、何回もやっているわけだから、悔しいし、これが現実」と言った。

「前にやったときと比べてより多くを学んでいる。やるたびに彼らから大きなものを学んでいる」と自らを奮い立たせるような言葉もあえて口にした。

(取材・文 矢内由美子)