2013年1月27日、18歳以下に有害な業務をさせた労働基準法違反として、秋葉原や池袋などの「JKリフレ」が摘発された。JKリフレとは、女子高生(JK)によるリフレクソロジー(マッサージ)を行う店だ。店側は性的なサービスはないとうたっているが、児童売春の温床となっているケースも多い。今回は8月7日に著書『女子高生の裏社会「関係性の貧困」に生きる少女たち』(光文社新書)を出版した、女子高生サポートセンターColabo代表・仁藤夢乃さんに、JK産業の実態に関してお話をうかがった。仁藤さん自身、中学生の頃から渋谷ギャル生活を送り、高校を中退。秋葉原のメイドカフェに勤務した経験もあるという。

JKリフレ、JKお散歩、JKカフェ、JK占い、JKカウンセリング、JK撮影会……

――JK産業について、具体的にどのようなものなのか教えてください。

仁藤夢乃さん(以下、仁藤):JKリフレやJKお散歩、最近ではJKカフェやJK占い、JKカウンセリング、JK撮影会など、さまざまな形態で女子高生によるサービスが行われています。

「JKリフレ」ですが、表向きはマッサージ店としてやっています。しかし、「裏オプション」というものが存在しているんです。裏オプションとは、店側は載せていないメニューで、女の子が100%バックをもらえる性的サービスです。裏オプションは通称「裏オプ」と呼ばれ、これをやるかどうかは女の子次第です。そして、店側は「女の子が自分でやっていること」として責任逃れをしているんですね。

「JKお散歩」は、観光案内のアルバイトという名目で女子高生を集めていますが、実際にはお客の男性の行きたいところへデートすることになります。待機室のようなものはないので、通りに女子高生が立って客引きをしているんです。「JKリフレ」や「JKお散歩」の規制が厳しくなってから出てきた「JKカフェ」も「JK占い」も「JKカウンセリング」も、女子高生とおしゃべりができる場所です。

「JK撮影会」は、アイドルやモデルになりたいっていう子が多いですね。店のホームページには「芸能事務所直営のお店です」とか書いてあるんですよ。でも、芸能事務所です、なんて誰でも言えるし、実際はポルノ系のDVD制作会社や、風俗店を経営しているところだったりするんですよ。スタジオでカメラマンに撮影してもらえるから、女の子側も気分が良くなってモチベーションが上がるんですよね。だけど、水着を着せられて撮影され、拒否すると「下積みなんだから。タレントの●●だって最初はこんなところから始めたんだよ」と言われて脅されることもあります。

アメリカの国務省からも「人身取引」として指摘されている

――ひとくちにJK産業といっても、こんなに種類があるのですね。

仁藤:はい、法をすり抜けて営業するため、次々にいろいろな形態でのJKビジネスが生まれるんです。

実は今年の6月にアメリカの国務省が人身取引の報告書というものを出したんです。その中でも、日本では秋葉原を中心にJKビジネスが流行っていることが指摘されているんですよ。未成年の女子高生たちが、簡単にだまされて売春ビジネスに取り込まれていると。世界的にも、日本で流行っている「JKお散歩」は人身取引だと言われているんです。児童買春の温床となり、性暴力被害も起こっている。女子高生たちが商品化されて、売っているのも買っているのも大人。それなのに、日本は全く解決への取り組みを行っていないことも、人身取引報告書では10年連続で批判されています。

現状としては、警察は女の子を補導するという方法でJKビジネスや児童買春を取り締まろうとしているんですけど、女の子を補導したって買う側はなくなりません。JKビジネスで働く少女に声をかける男性の中には、買春を持ちかける人が多くいますが、男性側はそれだけでは捕まらず、決定的な買春の証拠がない限り罪を問われることはありません。

――アメリカからは指摘されているのに、日本では実際にこのような人身取引が行われていることを知らない人が多いですよね。

仁藤:そのような危険なビジネスがあることを大人が知らないので、子どもだって危険であることに気付けないんです。大人が「こんな仕事は危険だ」と教えてあげれば子どもも気付けるんですが、良い大人から教えられる前に、店側から「危なくないよ、警察がやっている取り締まりは営業妨害なんだよ」と教えこまれ、洗脳され、信じちゃうんです。たまに、「女子高生が勝手にやっているのだから自己責任だ」と言う人もいますが、これは大人の問題だと思うんです。

危険な仕事であることに大人が気付いて教えてあげるべき

――JK産業で働いている子の特徴などはあるのでしょうか?

仁藤:JK産業で働いている子は、主に3つに分けられます。1つ目が貧困層。家庭の経済状況が困窮している状態。教育困難校と呼ばれる高校の生徒や、通信制・定時制高校の生徒、高校中退者や中卒者も多く取り込まれています。

2つ目が不安定層。経済的に困窮していない家庭だけれど、親や学校との関係が崩れていたり、誰にも言えない事情を抱えていたり、ネグレクトを受けていたりとか。親にお金があってもお小遣いはもらえない、学費も払ってくれない、ご飯も出してくれないという、お金がなくて困っているタイプです。

そして3つ目が生活安定層。この子たちは、学校の成績も良くて、4年生大学の推薦もとれているのに、普通のバイトの感覚で働いています。裏オプがあることも知らないんです。一番真面目で従順なんですよね。待機時間に店長が学習支援をし、勉強を見てくれることもあるから、店長を信じちゃう。この層の子たちは高校生が見るようなSNSのサイトに出ている、JKビジネスの広告を見て入ってきていることもあります。お店のホームページには「風俗店ではありません。テレビで報道されているような危険はありません。学校でバイトが禁止されている子もOK。アリバイつくります。」と書いてあるので、安心して働いちゃうんですよね。そんなこと書いてあること自体がおかしいのに、気付けないんです。

――裏を返せば、どんな子だってJK産業に足を踏み入れる可能性があるということですね。

仁藤:そうなんです。見た目が派手でない子も、問題を抱えていそうに見えない子たちも多く働いています。大人たちが、子どもの間で流行っているサイトを学び、危険を伝える必要があります。

>>後編へ続く:「相談できる人がいない」 女子高生サポートセンター代表が語る、JK産業で働く少女たちのSOS

(姫野ケイ)