『エル・ムンド』紙によれば、ガビは8万5000ユーロ(約1190万円)を受け取ったと一旦は認めながら、すぐさま2回に分けてイグレシアスに返金したと前言を翻した。さらに、
「そのカネがレバンテの選手に渡っているかどうか分からないし、どうなったかも知らない。クラブは債権者会議に臨もうとしていたので、それに関連する入金だと考えていた。自分はクラブに命じられるままに行動しただけ」
 と証言したとされる。
 
 事情聴取での証言は非公開が原則で、漏れ伝わるガビの証言はあくまでオフレコ。アギーレの関与について言及したかどうかも明らかにはなってはいない。
 
アギーレは八百長に関与していたのか? 召喚・出頭の可能性は?
 アギーレに関する捜査状況は明らかになっていない。捜査当局がどの程度関与を疑っているのかも不明だ。
 
 事情聴取のための出頭も、現時点では考えにくい。母国のアルゼンチンに戻ってプレーしているGKレオ・フランコやMFレオナルド・ポンシオと同様、国外在住者を事情聴取に召喚するには、対象の人物が居住する国との送達手続きを経ての正式な捜査権の取得が必要で、少なくとも任意捜査の現段階においては書面によるやり取りに留まることになるだろう。
 
 ただ、裁判となれば話は別だ。前述したように一連の事情聴取は今月中に完了する予定で、その結果次第で、アギーレに裁判所から召喚状が届く可能性はある。
 
捜査の終着点は?
 八百長疑惑が持ち上がっても、うやむやなまま幕引きを図るのがスペイン・サッカー界の悪しき体質だったが、不正撲滅を誓うテバス会長は本気だ。捜査当局が具体的なカネの流れを掴んでいるのも今回の特徴で、八百長の立証が可能と判断すれば、裁判で関係者を徹底的に追及するはずだ。
 
 有罪となれば、関与した監督や選手には1年から6年の資格・出場停止処分に加え、半年から4年の禁固刑の刑事罰もありうる。
 
 アギーレについても、現時点では可能性は低いとはいえ、今後の捜査の行方次第では、処分の対象になるケースもありそうだ。
 
文:アリツ・ガビロンド(AS)
翻訳・構成:下村正幸

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