勝負を決める2ゴールを奪った南野。トップ下起用が見事に当たった。(C) SOCCER DIGEST

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 韓国戦のベンチには、ベトナム戦の怪我でこの日の登録メンバーから外れた奥川、松本、広瀬のユニホームが掛けられていた。そんな満身創痍の状態で臨みながら、ライバル韓国を蹴落として決勝トーナメントに進出。内容面でも相手を圧倒し、4大会ぶりの世界大会への切符まであとひとつに迫っている。

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 今までの2戦に比べて明らかにパフォーマンスが向上したのは、追い込まれた状況でのリバウンドメンタリティや韓国の不調だけでは片付けられない、日本の変化があったからだ。
 
変化1)南野のトップ下起用
 これまでは「選手が南野を見過ぎて、自分のほうがいい状態にもかかわらず彼に預けてしまっている」と鈴木監督が指摘した通り、エースへの依存度の高さから組み立てが上手くいかないシーンが目立った。さらに「頭は整理できていた」(南野)としながらも、南野自身も多くのタスクを抱え、どこか窮屈そうにプレーしていたのは事実。
 
 しかし1トップに北川を配して明確な縦関係を築いた韓国戦では、南野を前線の起点としながら、周囲も上手く連動できていた。戦術上の居場所を固定化することで、南野がボランチの位置まで下がって受ける回数は減り、前を向いて仕掛ける頻度が上がっている。南野本人も「ゴールに向かうなかで、真ん中のほうがやりやすさはある」と手応えを得たなかで2ゴールを挙げた。
 
 また守備面でも、南野が「相手の6番などゲームを作る選手を自分が見る」(南野)ことで、韓国に自由を与えなかった。試合当日に決まった形だと語る“トップ下南野”は、攻守両面で機能したと言えるだろう。
 
変化2) ボランチの積極性
 川辺と井手口の積極性も、この日の流れを決めたポイントだった。韓国のお株を奪うかのような球際へのアグレッシブさを見せ、セカンドボールへの反応も上々。「取れるボールは全部取ろうと思っていた」(川辺)と語るように、積極的な守備から素早く攻撃に切り替え、自らもゴール前に顔を出している。
 
 縦への意識を持つことで、中盤のパス回しも円滑化した。中国戦やベトナム戦の前半はボランチからのバックパスが目立ったが、まずはボールの出しどころで前を向かないことには攻撃は始まらない。韓国戦の2点目のシーンのように、ボランチが高い位置まで押し上げて前線と近い位置でパス交換ができれば、自ずとチャンスは増えていく。
 
変化3)1対1の意識
 ベトナム戦で劇的な決勝ゴールを挙げた中谷は、その勢いのまま韓国戦では相手の10番をしっかり抑え、セットプレーから一瞬の隙を突かれはしたものの「流れのなかではほとんど仕事をさせなかった」(中谷)。左SBで今大会初出場の宮原も「マッチアップの相手に負けないこと」(宮原)を前提に、守備に綻びを見せていない。
 
 前述のボランチを含め、「ベトナムに対しても負けていた」(中谷)1対1の弱点を見つめ直し、本来は個の力を武器とする韓国を抑え切ったのは、今後に向けて明るい材料となる。
 
 中谷は言う。
「ここに来る前に東京のホテルで(中山)ゴンさんに『魂を乗せれば勝てるから』と言われた。みんなそこを意識してやれたのかな。やっぱり気持ちが入っていたし、それが大事だと思う」
 
 サッカーの根本は、やはり局面の1対1とも言える。それをいい意味で考えさせられた日韓戦でもあった。
 
取材・文:増山直樹(週刊サッカーダイジェスト)
 
U-19アジア選手権 グループリーグ第3戦
日本 2―1 韓国
[得点者]
日=南野拓実(13分、65分)
韓=キム・ゴニ(29分)
 
※グループC 1位=日本、2位=中国、3位=韓国、4位=ベトナム
日本と中国が決勝トーナメントに進出