失点ゼロを最優先に考える長友…「中学生とプロの差」をいかに詰めるか

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 9月に本格始動したアギーレジャパンは14日、シンガポールナショナルスタジアムで4戦目となるブラジル戦を迎える。試合前日には試合会場で公式練習にのぞんだが、岡崎慎司(マインツ)が「砂が多くて、(2014年ブラジル・ワールドカップ予選の)タジキスタンの時以上にやりづらい」と言うほど、ピッチコンディションが劣悪だ。気温も30度超と高く、両者にとって過酷な条件下での試合になることは間違いない。

 香川真司(ドルトムント)が脳しんとうで離脱し、本田圭佑(ミラン)や岡崎ら欧州組が欧州〜日本〜東南アジアの三角移動を強いられコンディション的に厳しくなる中、メキシコ人指揮官は公式会見でメンバー6人の入れ替えを明言した。香川の抜けた中盤の構成や3トップの陣容をどうするか、GKを西川周作(浦和レッズ)と川島永嗣(スタンダール・リエージュ)のどちらで行くか…といったテーマはいくつかあるが、本田、岡崎、長友佑都(インテル)、森重真人(FC東京)らチームの中核を担う選手たちは先発で起用するだろう。

 2012年10月にポーランド・ブロツワフで0−4の大敗を喫した試合、0−3で完敗した2013年6月のコンフェデレーションズカップ初戦(ブラジリア)で、最近2回のブラジル戦に出場している長友の経験値はやはり重要だ。コンフェデの際、「まるで中学生とプロの試合」とコメントし、相手の凄まじい底力を認めざるを得なかった彼としては、少しでもその差を詰める努力をするしかない。

「コンフェデの時も最初に決められて、完全なブラジルのペースになった。ああなると正直、厳しいかなと思うんで、最初に点を取れなくても失点をしないってところを意識して取り組まないと。ブラジル相手に1点2点を取るのは難しいですからね」と今回は徹底した守備から入る覚悟を口にした。彼らがネイマール(バルセロナ)ら傑出した個の力を誇るアタッカー陣をどう封じるかが試合の行方を大きく左右するといっても過言ではない。

「コンフェデの時は篤人(内田=シャルケ)が頑張ってくれた。負けはしましたけど、あれだけ(ネイマールとの)1対1で奮闘してくれれば、チームとしても心強いし、活気も出てくる。もちろんネイマールだけじゃなくて、ブラジルの前線の選手たちは誰でも点が取れるし、パスも出せるってことで、1人1人が守備の意識をしっかり持ってスペースを与えないようにしたいです」と長友はブラジル攻撃陣とのマッチアップに勝つつもりだ。

 2010年南アフリカ・ワールドカップ直前のイングランド戦(グラーツ)ではセオ・ウォルコット(アーセナル)を完封し、本大会ではエトー(エバートン)やエルイェロ・エリア(ブレーメン)といったキーマンを止め、エースキラーとして名を馳せた彼には、それだけの守備能力が備わっている。ザックジャパン4年間は攻撃色が前面に出て、守りのスペシャリストとしての一面はやや影を潜めたが、このブラジル戦ではその潜在能力の高さを今一度、発揮しなければならないはずだ。

 ブラジルには今季インテルへ移籍してきて、長友の定位置だった左サイドのポジションを奪ったドドもいる。ドドの加入によって、彼は不慣れな右サイドへの押し出される格好となった。本人は「右をやるのもキャリアの中では必ずいい経験になる」とポジティブに捉えているが、やはり右足で持ち込んでフィニッシュに行ける左サイドの方がやりやすいはず。そのポジションを奪回する布石を打つためにも、ブラジル戦では光り輝くパフォーマンスを見せる必要がある。長友のリーダーシップに期待したい。

文=元川悦子