新たな「国」を造るには、何が必要?

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連日のようにニュースをにぎわす「イスラム国」。きな臭い話題が多いので、一日も早い沈静化を望むひとも多いだろう。

新しい「国」を造るには、なにが必要か? 主権、領土、国民の3つを用意すれば慣習的に「国」として成立し、ほかの国がそれを承認すれば新しい「国家」として扱われる。ただし「承認」の意味は国によって異なり、そこに存在するのは知っている的な、浅い意味しか持たないのが主流で、事実上は国連が認めなければ意味を持たない。

「社会の悪」と認識されると集合的不承認を食らい、国から格下げされる可能性もあるのだ。

■意外とあいまいな、国家の「承認」

国を成立させるためには、

1.主権 … ほかの国から干渉を受けずに、国を維持する機能

2.領土 … 海や空を含む

3.国民 … その国に統治される住民

の3つが揃えばOKだ。ただしあくまで「慣習的」にOKの意味で、これらを申請する必要もなければ、誰かが許可する仕組みでもない。事実上「国」と呼べる条件を揃えられれば、誰でも新たな国が作れるので、もし国王になりたければ、どの国の領土でもない土地と、自分についてきてくれる人たちを探すことから始めよう。

つぎに必要なのは、他国からの承認だ。いくら自分たちは「国」だと言い張っても、県や地方のように「どこかの国の一部でしょ?」と考えられてしまったらそれまでで、交流を始めても国交ではなくなってしまう。承認する方法も決まりはなく、それ以前に「承認」の意味は国によって異なるので、これも慣習的と呼ぶべきだろう。

現在は「わが国は、A国を承認します」のように明示的な承認ではなく、「Aという国が生まれたらしい」的な、客観的で暗示的な方法が主流になっている。

明示的に「認める」と言わないのはなぜか? これは、自分たちが「後ろだて」になっているように表現されるのを防ぐためだ。もし最初にB国が「A国を承認します」と宣言すると、ほかの国はB国の影響力をみて、A国を承認するか否かを判断することになり、A国自体よりも「どちらが得」かに流れてしまう可能性が高い。

逆も真なりで、ほかの国とモメた際にA国が「われわれはB国に承認された国家だ!」と、後ろだてのように使うこともできる。結果、B国は余計なモメごとに巻き込まれてしまうので、「A国が誕生したようだ」と、遠回しな承認に切り替わっている。

これはメキシコの外相にちなんで「エストラダ主義」とも呼ばれ、アメリカやイギリスが「承認」という表現をしない理由だ。

■国になれるかは、国連次第

成立条件や承認が「形式」でしかないのなら、どんな国でも造ることができるのか? 答えはNoで、非道なおこないをする国家は国連からダメ出しされ、国際的に孤立した状態になってしまうからだ。

現在も孤立状態が続いている国がある。北キプロストルコ共和国だ。

もともとギリシア系とトルコ系住民でキプロス共和国を成していたが、1974年のクーデターを機にトルコが占領した。これを安全保障理事会が「遺憾」と非難したのだが、無視して1983年に独立を宣言。後ろだてであり当人でもあるトルコがこれを承認したが、国連がこれを認めていない。

国連が承認しない=ほとんどの国が認めない、の意味なので、北キプロストルコ共和国は事実上「国家」から格下げされたに等しい。このような取り消しは集合的不承認と呼ばれ、現在のジンバブエの原型であるイギリス領ローデシアや、南アフリカに存在したホームランド国家も同様に、国連から「国とは認められない」とNGを出されている。

逆に、領土がないのに国として成立していた「マルタ騎士団国」も存在する。現在は「主権実体」と呼ばれ、「国なみ」のあつかいを受けている。三要素よりも、他国からどのように思われているかが重要なのは明白だ。

■まとめ

国家の成立には、三要素と、他国からの承認が必要

国連=ほとんどの国が承認せず、世界から孤立している国もある

領土がなくても国あつかいの「マルタ騎士団」も存在する

(関口 寿/ガリレオワークス)