『テレビねこ まーごのお仕事』(宝島社)

写真拡大

「昨日夜9時、視聴者のみなさまをはじめゲストの方々に愛されてきました、番組の仲間のまーごが亡くなりました。8歳と7か月、突然の死でした」

 先週末、まさかの訃報にネット上が騒然となった。あの「まーご」が、亡くなったのだ。

 まーごというのは、テレビ東京系で毎週土曜の午前11時30分から放送されている『田勢康弘の週刊ニュース新書』の看板猫。政治ジャーナリストで元・日経新聞記者である田勢がホストとなり政治家をはじめとするゲストを招いてトークを繰り広げる"お堅い"番組なのだが、なぜかスタジオを猫が自由に歩き回っていることでも有名で、ネット上では「猫を愛でる番組」として親しまれてきた。そんな人気猫が突然死したことが、11日放送の番組内で公表されたのである。

 番組が急遽設けた追悼コーナーでは、番組の進行役である繁田美貴アナウンサーが声を震わせながら「撫でたらいまにもゴロゴロと喉を鳴らしてくれそうな、そんな表情で眠っていました」と、まーごとの最期の対面をしたことを報告。花束と猫じゃらしのおもちゃに囲まれたまーごの亡骸が映し出されると、 視聴者の「寝ているんだよね? そうだよね?」「信じられない...」と悲しみのコメントがネット上にあふれた。

 そもそも田勢がこの番組を引き受けたのは、猫を出すことが条件だったらしい。そこで白羽の矢が立ったのが、動物プロダクション所属の猫・まーごだった。じつはまーご、SHARPのCMに出演し、人気を博した雄猫・ミーヤの孫。タレント猫としてはサラブレッドだったわけだが、2009年には『テレビねこ まーごのお仕事』(宝島社)という写真集まで発売されるほどに。しかし、その人気はたんにかわいいだけではなく、番組におけるゲスト政治家とまーごの"絶妙の絡み"にもあった。

 たとえば、先月9月27日の放送回では、ゲストである森喜朗元首相が2020年のオリンピックについても熱く語っているにもかかわらず、目の前で爆睡姿を披露。森が田勢から五輪音頭をつくるのかと問われ(わざわざ質問するような話なのかというツッコミはさておき)、「そういう声もありますし、いずれそうなっていくでしょう」とうれしそうに返答するも、視聴者のシラケを体現するかのようにまーごは無反応。

 また、視聴者の目が釘付けになったのは、中曽根康弘元首相が登場したとき。こともあろうか、中曽根の前に置かれた茶碗に首をつっこみ、お茶に手(舌?)をつけたのだ。まーごはときおりMCであるキャスター陣のカップにも手を出すことがあったが、ゲストのものを横取りするあたりは「てめえに出す茶はねえ」と言わんばかり。

 このほかにも、先月の放送で菅義偉・内閣官房長官が「ニッポンの提言」というお題に対し、「実行実現」と恐ろしいフリップを掲げたときにも、呆れたようにテーブル上で熟睡をぶちかましたまーご。石破茂・地方創生担当大臣や、読売グループのドン・渡邉恒雄に抱きかかえられてもぶ然とした表情で、ときには番組の進行などお構いなしでカメラ前に立派なキャンタマ袋を見せつけることも。

 森喜朗に小沢一郎、鳩山由紀夫、志位和夫......みんながまーごの愛くるしさに骨抜きにされた。森にいたっては「まーごに会えるならまた出たい」とさえ言ったという。だが、まーごには与党も野党も関係なし。権力にすり寄ることもなく、どんな大物政治家に撫でられようとも、猫の矜持か、媚を売ることなどしなかった。その自由な姿は、詭弁を弄することに必死な政治家たちをあざ笑っているかのようでさえあった。──たとえ無言でもその態度は饒舌で、立派にMCとしての務めを果たしていたのだ。

 テレ東は2代目看板猫を立てるかどうかをまだ発表していないが、あの奔放なまーごをもう観られないのは悲しい限り。天国でも変わらず気ままに、穏やかに過ごしていることをこころから祈りたい。
(サニーうどん)