内村航平・有終の銀!難しい演技を美しく実施できるからこそ世界のエース・内村なのだなと改めて感嘆の巻。
「難度か?完成度か?」ではなく「難度も!完成度も!」です!

日本勢が大活躍を見せた世界体操選手権が閉幕しました。日本は内村航平さんの個人総合5連覇を筆頭に、男子団体が銀、個人総合で田中佑典さんが銅、種目別ゆかで白井健三クンが銀、平行棒で加藤凌平さんが銅、鉄棒で内村航平さんが銀を獲得。男子はメダル6個で出場国中最多の獲得数となりました。団体戦では悲願の金こそならなかったものの、0.1点差という限りなく勝利に近い接戦。ついに中国をとらえ、抜き去る時が来たなという手応えを感じることができました。

「場所のぶんの0.1点差」という表現もあったように、別のタイミング・別の場所での開催であれば、団体の金も獲れたという感触はあります。選手は確実にそう感じていたようです。ただ、場所によって獲れたり獲り損ねたりするうちは、不確定の要素も大きいということ。その意味では、内村航平さんの個人総合のように「いつでもどこでも金」という高みを目指して、さらにレベルアップを図っていってもらいたいところ。

やはり、獲りたいときに確実にメダルを獲るには、もう一段のDスコアのアップ…難度の上昇は欠かせないでしょう。男子団体決勝は最終的に0.1点差、小欠点ひとつの差の決着でしたが、技の難度によるDスコアで言えば中国は日本を総計で2.800点上回っていました。2.8点の差というのは落下2本+αに相当する大きな差です。最初からこの差があった上で実施で逆転を目指すというのは、やはり簡単なことではないのです。

種目ごとの順位でもつり輪、跳馬、平行棒、鉄棒と4種目で中国がトップ。日本はゆかで1位を獲り、あん馬でも中国を上回りましたが、これらの種目ごとの勝敗はDスコアでの勝敗と一致します。日本がスペシャリストを投入したゆか・あん馬で中国を上回ったのは偶然ではないでしょう。より高度なことを出来る選手が、本番でそれなりの演技をした場合、上に来るのは当たり前の話なのです。

やはり、こうしたトップオブトップの戦いでは、競技を発展させ、進化させていくことを期待したいもの。より難度の高いもの、よりチャレンジングなものを目指す人を、後押しするような世界であってほしいと思います。挑戦することのリスクのほうが大きくなれば、誰も挑戦をしなくなるでしょうから。

体操の採点では技ごとに難度が定められており、それぞれの得点や組み合わせによる加点の仕組みも明確にされています。もしDスコアの判定に疑義があれば競技中に指摘し、訂正を促すこともできます。また、出来栄えを示すEスコアの採点においても、着地の乱れや落下といったわかりやすいものから、チカラで強引に技を実施したものや、静止時間の不十分さ、ヒジの角度の曲がり、足の開きなどについておおよその基準が定められています。雰囲気でフワッと「10.00点満点!」とかつけているわけではありません。

実際の得点を計算する際にも、まず種目ごとに5人いるEスコア審判が採点した得点について、最大値と最小値をカットした上での平均値をとります。さらにコチラも種目ごとに定められるリファレンス審判2名の採点と照らし合わせ、著しく差があるようであれば、リファレンス審判の得点との平均を取って最終スコアが決められるのです。1人や2人がインチキをしたところで、シロをクロにするほどの引っくり返しは出来ない仕組みがすでに導入されているのです。体操は採点八百長騒動など、10年前にすでに通過しているのですから!

男子団体決勝の審判団、ここに中国人ジャッジは含まれていません。日本人ジャッジはあん馬にDスコア審判1名を含むのみ。念のため韓国人ジャッジがいるかどうかも見ましたが、ゆかにEスコア審判1名がいるのみです。繰り返します、韓国人は1人です。人間のすることですから、「客が沸いたので甘めにつけてしまった」等の揺れはないとは言えないでしょうが、それとて「0.3減点すべきところを0.1減点と見た」「0.1減点すべきところをスルーした」が関の山。

5人のEスコア審判全員にそれをやらせ、なおかつリファレンス審判まで買収するなんて離れ業、まず出来ないわけですから、「場所のぶんの0.1点差」に繰り言をしても不毛だと思います。そんなあやふやなものよりも、「Dスコア2.800点差」を埋めるほうがよほど前向きな話。ここがあと1.000点ほど詰まれば逆転は必至なわけですから。Eスコア審判を正座させてハリセンで引っ叩くのは、それが終わってからではないかと僕は思います。

ということで、「難しい演技を美しく実施する」からこそ偉大な王者である内村航平さんの世界体操有終の美について、種目別決勝2日目からチェックしていきましょう。

◆カッシーナ+コールマンの連続技!隠しているチカラはまだまだある!

世界体操最終日。種目別では男子の跳馬・平行棒・鉄棒、女子のゆかと平均台の決勝が行なわれました。日本選手はゆかに前回王者の白井健三クン、平行棒に加藤凌平・田中佑典の両名、鉄棒には世界のエース・内村航平、平均台に寺本明日香さんが登場しました。

まず男子の跳馬。ロンドン五輪の金・銀・銅が集ったレベルの高い戦い。自分の名前がついた技を持つ選手も多数含まれます。そんな中、日本の白井クンはシライ/キムヒフン(Dスコア6.00点)とドリッグス(Dスコア5.600点)の2本で挑みます。

このDスコアは出場8選手の中でもっとも低い数値。シライ/キムヒフンも、自分の名前のついた技ではありますが、韓国のヤン・ハクソンの「ヤン・ハクソン(Dスコア6.400点)や北朝鮮のリ・セグァンの「リ・セグァン(Dスコア6.400点)」に比べるとやや落ちる数値。2本目のドリッグスは種目別の選手でなくとも普通に跳んでくる技で、ここで出すには見劣り感は否めません。

↓白井クンはシライ/キムヒフンを決めるも、15点台にやっとこ乗る感じの試技!


「ゆかと跳馬だけ」のスペシャリストを自負するにはもうひとつ上が欲しいかな!

「6.00を2本」が最低線で、「6.400」を跳ぶ人が金候補だろう!

↓優勝したリ・セグァンは2本目で両足ラインオーバーによる0.300減点をされながらも、Dスコア6.400点×2本の差で逃げ切った!


生活懸かってる感じする演技だな!

まさに足が折れても跳ぶ、という気迫を感じる!

まぁ、内村さんがDスコア6.00を2本を跳んで、2本ビタッと着地したら勝てそうな感じだが!

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男子平行棒には日本の2選手が登場。1番手で登場したのは、Dスコアでトップの構成をしてきた中国のデン・シュウディ。しかし、デンはバーに足を当てるミスなどもあって、Eスコアを伸ばせず。金メダル争いから脱落します。つづいて登場したのは日本の加藤凌平。加藤さんは予選でDスコア6.600点の構成、団体決勝でもDスコア6.600点の構成でしたが、この日は勝負をかけてDスコアを上げてきます。予選で抱え込みで実施していたベーレ(D難度)を、屈身に変えることでE難度とし、Dスコアを0.100点上げたのです。

↓Dスコアを上げて臨んだ種目別決勝、加藤はEスコアも伸ばす会心の演技!



団体決勝ではモリスエの前に、倒立に入る際に大きく姿勢を乱したりする場面もあったが、この日はクリーンに演技!

着地も根性で止めたことで、0.100点の減点を回避!

加藤さんは最終的に3位銅メダルを獲得しますが、4位の中国デン・シュウディとの差は0.033点差。デン・シュウディには明らかな過失があったこと、加藤さんがDスコアを上げたこと、着地で踏ん張ったこと、小さな積み重ねがいくつもあってようやく逆転に至りました。もしDスコアを上げていなければ、仮に着地で同じように粘っても、やはり届かなかったわけです。勇気と決断。この銅メダルは「挑戦する者」に与えられる銅メダルだった、そのように感じます。

加藤さんは、正直今大会はあまり調子が上がらず、団体戦でも本来持っている技よりも下の難度のものを選択する場面も見られました。昨年の大会では個人総合で「内村がいなければ金」となったほどの選手。内村&加藤がハイレベルな演技を繰り出した上で、スペシャリストがポイントゲッターとなるというのが日本の勝利への近道であることは間違いありません。この銅メダルをいいキッカケにしてもらいたいところです。

そして最終種目・鉄棒に登場するは、世界のエース・内村航平。この種目には鉄棒に関しては超人的なチカラを誇るオランダのゾンダーランドが出場します。正直、内村さんを持ってしても勝つのは難しい相手です。ゾンダーランドのこの日の構成はDスコア7.700点というもの。これは団体決勝で内村さんが演じた構成のDスコア6.900点を0.8点も上回ります。G難度技ひとつぶん以上の差がやる前からあるのです。内村さんが仮にEスコアで9.000点という超高得点を出したとしても、ゾンダーランドは「目立ったミスはない」程度で出るEスコア8.300点で勝てるのです。同じ演技構成ではちょっと勝負になりません。

しかし、ここで隠していたチカラを出せるからこその世界のウチムラ。内村さんはDスコアをガツンと上げた構成でこの勝負に臨みます。目指すDスコアは7.500点(※実際はミスもあって7.200点にとどまる)。昨年の世界選手権では、ゾンダーランドがDスコア7.700点+Eスコア8.300点の16.000点、内村さんがDスコア6.900点+Eスコア8.733点の15.633点でした。この0.377点差をDスコアを上げて埋めてきたのです。

↓見せた!カッシーナ+コールマンの離れ技の組み合わせ!Dスコア7.200点の高難度構成!


見たかゾンダーランド!

F+Gの離れ技組み合わせを決められる選手はここにもいるぞ!

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団体決勝からの大きな違いは、見た目にもわかりやすい離れ技の連続があること。D難度以上の離れ技の組み合わせは0.2点の組み合わせ加点が得られます。団体決勝でもカッシーナとコールマンという技はありましたが、連続したものではありませんでした。これをつづけて実施することで0.2点を積み増したわけです。

さらに本来の意図としては、冒頭のアドラー1/2ひねり(両手の間に足を通すところ)のあとの伸身トカチェフ(バーを後ろ向きで飛び越しているところ)が、さらに高難度のリューキン(伸身トカチェフ1回ひねり)を予定していたとのこと。もしすべて予定通りいっていれば、Dスコア7.500点の高難度構成だったのだとか。

アドラーハーフからのリューキンや、カッシーナ+コールマンは過去にもトライしており、本人が言うほど「ぶっつけ本番」の構成ではないもの。やろうと思えば、このレベルの演技は十分いつでも狙えるところのものでしょう。採点傾向などを見ながらEスコア重視という方針で、抑えめの演技を選択することも多い内村さんですが、例えば団体戦で中国が先、日本が後という順番で鉄棒の演技に臨んでいれば、種目別で見せたような一段階上のギアも踏んだように思います。

歴史に残る選手だけに、隠しているチカラも含め、すべてを後世に記録しておきたいところ。できること全部をやって、世界をポカーンとさせるような瞬間、見てみたいものです。できないのならともかく、やらないというのは勿体ないですからね。まだまだ隠しているチカラ、あるのですから。

↓結局、体操はまたもゾンダーランドが離れ技連発で優勝しました!


離れ技で足が割れたり、すごくキレイというわけではないけれど、とにかく雄大!

内村さんも拍手で祝福する納得の金です!

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団体戦と種目別の予選が別々なら、もっと攻められるんでしょうけどね!