極度に緊張すると高熱が出る!? 風邪の症状に似た「心因性発熱」の原因と対策

「熱さましを飲んでも微熱が下がらない……」実は風邪とは違う、ストレスからくる高体温があることを知っていましたか? 症状に思い当たる人、その高体温や微熱は、心因性かもしれません。
そこで、今回はストレスからくる高体温について、医療法人千手会ハッピースマイルクリニックの理事長 千田要一先生にお伺いしました。

■風邪以外で高熱になることがある!?「心因性発熱」

解熱剤が効きにくい発熱があるというのは初耳という方も多いのではないでしょうか。
実は、風邪以外で高熱や微熱が出ることがあるそうです。

「風邪を引いたときの発熱は、ウイルスに感染することで炎症が起き、脳が交感神経と筋肉に命令して体温を上げてウイルスを退治しようとします。しかし、精神的なストレスが起きたときも、交感神経の働きが活発になり、体温が上がることがあります。時には、38℃を超す高熱になることさえあります。
ストレス性の発熱の場合、風邪のときの炎症による発熱のメカニズムと違いますが、かぜ薬や解熱薬で熱は一応下がります。ただ、薬効が切れるとまた熱発してきます。」(千田先生)

■ストレスからくる熱ってなぜ起きるの?

では、風邪の炎症とは違うストレスからくる発熱はどのようなときに起きるのでしょうか?

「38度を超す高熱が出るときは、極度に緊張したり、人と会ったり、人と喧嘩をしたりするときなど、精神活動の急激な変化によるものが一般的です。
37度程度の微熱は慢性的なストレス、例えば、会社員なら深夜残業が続いたり、学生なら授業と部活、塾などと忙しい毎日が続いたり、年配者なら連日続く介護で疲れ果てたりといったような、いくつかストレスが重なることで起きることが多く見受けられます。」(千田先生)

発熱がストレスによるものだということは、どのように判断できますか?

「病院で医師にかかっても異常がないといわれたり、解熱剤が一時的にしか効かなかったりすることで気づくことができます。ストレス性の発熱の鑑別ポイントは、3週間を超えて熱が続くことです。」(千田先生)


■どう対処すればいい? 日常生活での対策・予防

では、このストレス性の発熱はどのように治療されるのでしょうか。

「ストレス性の発熱のことを、心因性発熱といいますが、生活指導や薬物治療、瞑想や自立訓練法などのリラクゼーション、心理療法などを組み合わせて行います。」(千田先生)

日常生活でどのような対策や予防策があるのでしょうか。

「心因性発熱が続く場合、まずは休養し、たっぷりと睡眠をとるのを心がけてください。多くの方は完璧主義なので、高熱が出ても仕事や勉強を続けて無理をされる方が多いです。ですから、微熱が続いているときには、仕事や勉強をすべてやろうとしないこと。物事の優先順位を決め、重要なことから処理し、時間効率を上げることがポイントになります。つまり、作業の時間効率を上げることで、休む時間が確保できるのです。
また、休まず作業するとマンネリ化して集中力が落ちてくるので、小まめに休憩をとるのも大切です。」(千田先生)

日頃の対策のポイントは、意外とシンプル。完璧主義の人がかかりやすいストレス性の発熱、気持ちを楽に日々の生活を送るように心がけたいですね。

(石原 亜香利)