決して満足しているわけではないが、本田のなかではジャマイカ戦に手応えもあったようだ。(C) SOCCER DIGEST

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 新体制発足以降、3試合連続で腕章を巻いた本田圭佑は、「内容・結果ともに満足できるものではない」とジャマイカ戦を振り返った。FIFAランク100位相手のホームゲームで、オウンゴールによる1-0。最少スコアで不完全燃焼に終わった勝利にフラストレーションが溜まったのだろう。
 
 確かに、ゲーム内容は褒められたものではなかった。徹底してリスクを排除した前半は、カウンターでしかチャンスを作れず。相手の運動量が落ちた後半もシュートミスで決定機をフイにした。本田自身もGKとの1対1を迎えながら、「いろいろ考えすぎた」末に放ったループシュートが枠を外れている。新体制下での初勝利はポジティブな要素だったが、格下相手に日本代表の積年の課題である決定力不足を露呈したのだから、悔やむのも当然だ。
 
 とはいえ、ことさらチャンスを逃したことだけを取り上げても意味がない。そこに至る過程で何ができたかにも目を向けるべきだろう。そうした意味で言えば、本田個人のプレーに意図が見えたのは確かだ。堅守速攻を徹底した前半は、いち早くゴール前に入り込むフィニッシャーの役割を意識し、押し込んだ後半は周囲を生かすチャンスメーカーに回った。
 
 特に左ウイングに入った65分以降は、インサイドハーフの香川真司や左SBの長友佑都と連係してチャンスを創出。攻撃に迫力を与えられるふたりのタレントを生かすべく潤滑油になっていた。
 
「真司も入ってきて、あそこで起点になれるので、周りは安心して懐に入って行ける。得点にはつながらなかったけど、そこからのいい形が何本かあった」
 
 時に所属クラブのミランでも披露するストライカーの役割をこなし、時に周囲の味方を生かす演出家にもなる。状況に合わせて最適解を探り出せる余裕とアイデアを備えた本田だからこそできる業だ。
 
 さらに背番号4は、冒頭の言葉の後に、こうも語っている。
「(内容・結果ともに満足できるものではない)でも、そういったなかでも失点なく勝てたことや、攻撃でも調整の短いなかで監督の要求を表現できたところもある。まあまあ良くはなっていると思います」
 
 まだ噛み合っているとは言えないが、前進している感触もあるのだろう。「まあまあ良くなっている」先にある理想形の完成を、今は待つばかりだ。

取材・文:五十嵐創(週刊サッカーダイジェスト)