日本は南野が豪快な同点弾を決めたが、それを生かせなかった。(C) SOCCER DIGEST

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 試合を支配していたのは、間違いなく日本だった。試合後のAFCのサマリーは、ボール支配率はおろかCKの数すら公表しないが、そんな数字を見るまでもなく日本が終始押し込んでいた。
 
 それでも、グループリーグ突破へ向けて最重要と見られた初戦で、日本は敗れた。開始早々のPKと77分のFKで2失点。いずれも警戒していたセットプレーからだ。ミスからボールを失った1失点目、良い時間帯での軽率なファウルが招いた2失点目。
 
「サッカーの怖さを思い知った」
試合後、鈴木監督は開口一番そう発したが、百戦錬磨のはずの老将の発言としては、やや寂しさを感じてしまう。
 
 事故のような失点だった、と結論付けてしまうのは簡単だ。もちろん、指揮官にその意図はないと思うが、原因はやはり自分たちにある。
 
 単刀直入に言って、日本には怖さが足りなかったのだ。攻撃に迫力が感じられなかった。確かに南野の同点弾は、豪快なゴラッソである。左サイドを単独で抜け出して、寄せる相手をものともせずに左足を振り抜き、GKの頭上を鮮やかに抜く。「さすがエース」と唸らせるような迫力に満ちていた。それでも、このシーン以外に“怖さ”を備えた攻撃はほとんど見られなかった。
 
 前半から「ボールに触れてリズムを作ろう」(南野)と頻繁に下がって受ける背番号13を軸に、右サイドの関根を交えて形こそ作っていた。しかし、フィニッシュの場面で焦って枠に飛ばない、もしくは一歩遅れてシュートすら打てない。中盤のつなぎもどこかチグハグで、縦に急ぎ過ぎる場面とイージーな横パスのミスが目立った。
 
“いい判断の共有”がチームモットーのはずが「組み立てとフィニッシュを含めてタイミングがズレて、いい判断ができていなかった」(鈴木監督)のだから、負けるべくして負けたのだ。
 
 後半途中から登場し、ドリブルで幾度か好機を作った奥川は言う。
「個人的にも突破までは良かったけど、その後がダメ。一人ひとりがもっとシュートへの意識を高めないと。後ろと前でやりたいことも噛み合っていなかった」
 
 修正点は少なくない。ただし、時間は限られている。次のベトナム戦をなんとしてもものにすべく、今は切り替えるしかない。
 
【日本 1-2 中国】
[得点者]
日=南野拓実(16分)
中=エイ・シーハオ(1分/PK、77分)
 
取材・文:増山直樹(週刊サッカーダイジェスト)