「カップめんの原材料費は、めんではなく、具材がいちばん高いのです。しかし肉や魚介類などの原材料の価格は、円安や新興国での需要が増えたことが影響して高騰しています」

そう語るのは、カップヌードルなどの即席めんを販売する日清食品の広報担当者。9月29日、日清食品は来年1月からの“値上げ”を発表した。どん兵衛や袋めんのチキンラーメンなど合わせて、その数なんと250商品! 前出の担当者は値上げの理由について、

「包装資材の価格や物流コストの上昇も重なり、今回の決定となりました」

日清食品に続き、10月2日にはマルちゃんブランドの東洋水産、3日には、カップ焼きそばの一平ちゃんを販売する明星食品も値上げを次々に発表。第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣さんはこう語る。

「今後はトウモロコシや麦類を飼料にする肉や乳製品、大豆を原料にする調味料など、輸入に頼らない米などを除くほとんどが、値上がりの対象となります。この物価上昇傾向は、デフレ脱却を目指している安倍首相の政策が続く限り、なくなることはないでしょう」

経済アナリストの森永卓郎さんは値上げラッシュの恐怖は、これからが本番だと断言する。

「円安と消費増税、日銀の黒田総裁が進める金融緩和策で物価は3〜4%の水準で上がり続けています。仮に12月に安倍首相が、来年秋からの消費税10%への引き上げを決定すると、さらに物価は上がり、狂乱物価と呼ぶべき状態に突入するでしょうね。そうなると、とても賃金の上昇などでは追いつく訳もありません。今後10年以上にわたって、日本経済は大変なことになってしまいます」