マリコ様が拘置所へ!?(篠田麻里子オフィシャルブログより)

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 10月4日、東京都小菅の東京拘置所に篠田麻里子が現れた。収監か? 面会か? 否、同所主催の「第3回東京拘置所矯正展」にスペシャルゲストとして登場したのである。麻里子サマはオープニングセレモニーでテープカットをしたのち、出店ブースを見学。拘置所のレシピを再現した弁当「拘置所レシピのお弁当」、通称"プリズン弁当"に興味を示していたという。

 しかし、「矯正展」といえば、目玉はやはり刑務作業製品の販売だろう。告知ポスターにも麻里子サマの次に面積を割いて紹介されており、「青森刑務所 高級感あふれる『津軽塗印鑑』」「水戸刑務所 自然のぬくもり『ますいりつみき』」「沖縄刑務所 沖縄の伝統染物『紅型のれん』」「函館少年刑務所 大人気のマル獄シリーズ『刑務所の手提袋モダン調』&『刑務所の小袋』」「横浜刑務所 変わらぬ品質、のど越し最高『細うどん』」「横須賀刑務支所 汚れ激落ち部分洗い石けん『ブルースティック』」と、まるでスーパーのチラシのような売り文句が並ぶ。

 刑罰に服す人たちが作った製品とは、一体どんなものなのか──。その知られざる実態が、写真家で編集者の都築響一による『刑務所良品』(アスペクト)で明かされている。

 そもそも刑務作業は「刑法第12条第2項の『懲役は、刑事施設に拘置している所定の作業を行わせる』という一節に基づいている」とし、「死刑囚を除くほとんどすべての受刑者が、全国75の刑事施設で作業の日々を送って」おり、「作業による歳入額が約60億円(平成18年度)」だったこともあるというから、大企業並みの規模であることがうかがえる。

 作業には、「生産作業、職業訓練、自営作業(炊事、選択、清掃、修繕など刑務所の運営に必要な作業)の3つの形態」があり、刑務作業品の製作は生産作業に当たる。そのブランド名は「CAPIC」。「財団法人矯正協会刑務作業協力事業部」の英訳の略である。

 さて、「CAPIC」は一体どんなものを扱っているのだろうか。それは、"粗暴な犯罪者"というイメージを覆す、精巧さ、職人技、高級感、普遍的なデザインなどを併せ持つ、誰もが使ったことのある"日用品"だったのだ。ジャンルは多岐に渡るが、そのほんの一部をあげてみよう。

・大型家具:応接テーブルセット、本棚、革張りソファ、子供用勉強机
・雑貨:ティッシュケース、積み木、ストラップ、ニポポ人形、帆船、ステンドグラスランプ、針箱、ちり めん人形、便箋、石けん、皿
・伝統品:備前焼、江戸切子
・衣類:靴、割烹着、バッグ、真珠のネックレス
・食品:醤油、味噌、乾麺

 ──などなど、あげればきりがないほどなのだ。

 そんな中、刑務所ごとに特色が反映された"名物"もある。

「7割が殺人がらみ、4割が無期という、まさしく日本最強」と謳われる千葉刑務所は、「長期受刑者ばかりだけに、作業に熟練を要する製品が多いのが特徴」で、高級桐たんす、紳士靴、漆工芸品、御神輿などが作られており、その出来は「千葉ならでは」と評判だという。特に御神輿はフルオーダーの注文生産で、一体が1500万円になることもあるという。

 累犯の短期受刑者が多いという広島刑務所では、高齢の受刑者や精神が不安定な薬物中毒者が目立つという。そのため作業を指導する担当技官は溜息混じりに「大変です」と嘆く。しかし、広島の地場産業である木工家具は、全国でも指折りの高品質。「昔は大きな箪笥や婚礼3点セットが売れたんですが、いまはローチェストみたいなワンルームに置けるものが中心」と、技官が売上事情を語る。

 最南端にある沖縄刑務所では、紅型が人気。壁掛けや暖簾、三味線置きまであるのが沖縄ならではだ。
 
 外国人犯罪者も多い府中刑務所は「家具製作、印刷、子供服、作業服縫製、皮工芸機械加工、自動車整備など、バラエティに富んでいる」という。なかでも受刑者が手作業で丹念に模様を施す革製のハンドバッグは、矯正展に来場するご婦人に人気なんだとか。

 ほかにも、革のソファなら加古川刑務所、「ライティングピューローならこれが最高でしょう」と関係者が口をそろえる札幌刑務所、岡山刑務所特撰の備前焼の陶器類、矯正展では整理券が出るほど行列必至の市原刑務所の味噌&醤油など、"ご当地品"は特に人気だ。

 これら刑務作業品は矯正展だけではなく、スーパーや公民館など、随時各地で即売会が行われているほか、ネット販売もされ即買も可能。興味が湧いたら、矯正展などに足を運んでみてはいかがだろう。デザインに主張はなくとも、職人的技術によって作り出される「刑務所良品」の数々。法務省はこれを「受刑者の矯正及び社会復帰を図るための重要な処遇方策」と位置づけている。手に取って、塀の内側と外側の"接点"に思いを馳せてみるのも悪くない。
(羽屋川ふみ)