写真提供:マイナビニュース

写真拡大

もはや社会でも日常的に使われるようになった生活習慣病。国内外を問わず、生活習慣病が原因で命を落としている人が後を絶たないが、実は食生活をほんのちょっと変えるだけでその罹患(りかん)リスクを低減できるのはご存じだろうか。

医学博士でもある日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長に、生活習慣病の原因と罹患(りかん)リスクを回避する方法を伺った。

○世界の死因の6割が生活習慣病

体によくない日々の習慣が積み重なって引き起こされるのが生活習慣病で、代表的なものがメタボリックシンドロームだ。これが内臓脂肪型肥満とともに高血圧、糖尿病、脂質異常症をもたらし、心臓病や脳血管疾患(脳卒中)、糖尿病合併症、さらにはがんをも招く。

中高年に患者が多い生活習慣病による死亡数は、世界でも非常に多い。世界保健機関(WHO)が発表した「2012年世界保健統計」によると、2008年の世界の総死亡数(5,700万人)のうち、6割以上の3,600万人の死因が生活習慣病だった。WHOは、2030年までには生活習慣病由来による死者が年間5,500万人に増加するだろうと予測しており、今後も世界中の人々の大きな死因の一つとなりうることが考えられる。

「日本では年間に約100万人の方が亡くなられていますが、そのうちの6割にあたる60万人の方は生活習慣病が原因といわれています。そのおおよその内訳は、30万人ががん、15万人が心臓病、15万人が脳血管疾患です」と池田理事長は語る。

○糖尿病を招きやすい食後高血糖とは

多くの生活習慣病の原因となるのが、メタボリックシンドローム。池田理事長は、メタボリックシンドロームの人は食後にある特徴が見られると話す。

「メタボリックシンドロームでは、腹腔内に脂肪がたまるという生物学的異常が見られます。そういった異常を呈している人の食後の血糖値を見ると、普通の人よりもそれが高く推移する『食後高血糖』という症状が見られます」。

この食後高血糖の人の血中には、血糖値を下げるホルモンとして知られている「インスリン」が大量に分泌されており、かつそれが働きにくい「インスリン抵抗性」が示されている。そしてこの過剰なインスリンは、動脈硬化やがんを誘導する可能性があることが知られている。

内臓脂肪が過剰に蓄積されている人では、血圧を上げたり、インスリンの働きを阻害したりする成分などもここから異常に分泌されてくるため、その結果として、生活習慣病リスクが一層高まってしまう。すなわち健康体でいるには、内臓脂肪をためこまないようにして、インスリンを過度に分泌させないことが必要になってくるというわけだ。

○糖の吸収速度を緩やかにするパラチノース

内臓脂肪の沈着を防ぐには、適度な運動やバランスのよい食生活などが必要となってくるが、多忙な日々を送る人たちにとっては、それらを日々実行することは難しい。

そこで、池田理事長はふだんの食生活にパラチノースという甘味料を取り入れることを提唱する。パラチノースとは、はちみつなどに微量に含まれている天然の糖質で、砂糖に似たすっきりとした味わいが特徴だ。

「ブドウ糖と果糖が結合したパラチノースは、砂糖と同じ1gあたり4kcalですが、小腸での吸収速度が砂糖に比べて5分の1という特徴があります」。

糖質の吸収速度が緩やかだと、血糖値の上昇も緩やかになり、結果としてインスリンの分泌が抑制される。さらに、糖質が小腸をゆっくりと移動することにより、糖代謝をコントロールするホルモン「インクレチン」が効率よく分泌されるというメリットもあるという。

さらに、内臓脂肪をつきにくくするというデータもある。ブラジル在住の日系人30人を対象としたヒト試験では、パラチノース配合糖(パラチノース9割:スクロース1割)を1日45g、16週間にわたって摂取してもらった結果、内臓脂肪面積が対照群(スクロース単体摂取)と比較して有意に低くなったという研究成果が得られている。

○スローカロリープロジェクトとは

さまざまなメリットがあるパラチノースに着目し、池田理事長は販売元である三井製糖らと共同で「スローカロリープロジェクト」を提唱。「元気で太りにくい健康な体を創る」という理念の下、ゆっくりと消化吸収できるレシピを紹介するといった啓発活動を続けている。

「パラチノースは砂糖と同じカロリーで、より食後の血糖値を上がりにくくしてくれます。また、味わいも砂糖と同じくらいおいしいと言われています。そのため、食後の血糖値が高めに推移する人には、ふだん使用している砂糖をパラチノースに置き換えるという選択肢もお奨めです」。

(栗田智久)