山谷えり子オフィシャルウェブサイトより

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 いったいなぜなのか。山谷えり子拉致問題担当相兼国家公安委員長や高市早苗総務相など、安倍内閣の閣僚とネオナチや在特会など極右団体との関係が明らかになってから2週間。その間に「知らなかった」という彼らの弁明が真っ赤なウソであることも次々に明らかになった。ところが、新聞やテレビなどのマスコミではこの問題はほとんど報道されていないのだ。先日、始まった国会でも彼らを追及しようという動きはまったく出てこない。

 とくに信じられないのは、山谷えり子がなんの責任も問われず放置されていることだ。周知のように、山谷はヘイトスピーチ団体「在特会」との密接な関係を暴露されたのだが、その報道に対する姿勢はウソとごまかし、開き直りに満ちたものだった。

 山谷はまず、「週刊文春」(9月25日号)で在特会の関西支部長(当時)だった増木重夫氏と20年来の付き合いがあることを指摘され、この増木氏、京都支部長になるN氏、在特会の関連団体「チーム関西」のリーダーのA氏の3人と一緒に写った写真が誌面に掲載された。ところが、「文春」の取材に山谷は「ザイトクカイってなんですか?」と会の存在そのものを知らないふりをし、増木氏についても「在特会の人とは知らなかった。政治家なので写真をといわれれば撮る」とその関係を完全否定した。

 しかし、その後、山谷と増木氏の関係を物語る証拠が次々出てくる。増木氏のホームページには、別の日に議員会館で山谷と一緒に撮った写真や、親しい関係を物語るこんな日記も存在していた。

〈山谷先生の宿泊されているホテルへ押しかけ、少々遅い「夜明けのコーヒー」。諸々の事案を相談。いつものことながら、先生ハイテンション。あのエネルギーはどこから来るのか。「えりこ先生ホの字の会」(勝手応援団)の設立を検討中。〉

 また、山谷には、「文春」の写真とは別の議員会館の写真で増木氏と一緒に写真に写っていた在特会の関係者から2010年に2回にわたって献金を受け取っていた事実も発覚した。

 さらに信じられないのが、9月25日、日本外国特派員協会で行われた山谷の会見の内容だった。この会見では、当然、在特会元幹部との関係に質問が集中したのだが、山谷はこれだけさまざまな証拠が出てきているにもかかわらず、「選挙区が全国でありまして、たくさんの人々とお会いいたします。そのマスキさんという方が在特会の関係者ということは存じ上げておりません。」とあいかわらずの回答をくりかえしたのだ。

 しかし、これに対して、警察組織のトップである山谷が在特会幹部を「知らなかった」といいはり、文春のインタビューで「在特会そのものを知らない」と発言したのはおかしい、という批判が複数の記者からとんだ。これだけ国連から問題とされているという団体のことを知らなくて、警察行政のトップが務まるのか、と。

 すると、山谷は一転して「在特会を知らないとはいっていない」「週刊誌のやりとりは事実ではない」と、今度は「文春」の記事を捏造よばわりしたのだ。  

 だが、このウソもあっけなくバレてしまう。会見での発言を知った「週刊文春」は山谷とのやりとりを録音したテープを「週刊文春デジタル」にアップしたのだが、そこには、記者が在特会について何度も説明しているのに、「何ですか、ザイトクカイって」「ザイトクカイって何ですか」「私ちょっとよくわかりませんので」と、シラを切り通す山谷の声がはっきり残されていた。

 閣僚がこれだけ言を左右し、虚偽をふりまいているだけでも普通なら進退問題に発展しかねないが、この会見でもうひとつ見逃せないのは、山谷が明らかに在特会をかばい、在特会と同じ思想をもっていることを思わず表明してしまったことだ。

 山谷は在特会との関係を否定しながら、在特会についてどう思うかと問われると、「色々な組織についてコメントすることは適切ではない」と発言をさけ続けた。また、在特会によるヘイトスピーチの問題点を指摘されても、「ヘイトスピーチをする人、そしてそれにまた反対する人々との間で暴力的な行為すら起きている。遺憾に思っています」「色々なグループがぶつかっている」と、必ず反ヘイト側を持ち出して、在特会を擁護し続けたのだ。

 そして、もっと決定的だったのが、この会見に出席していたTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」のプロデューサー・長谷川裕氏からの質問内容だった。

 長谷川プロデューサーは同番組が山谷に対して事前に「在特会をどのような団体と認識しているか」という質問をしたところ、書面で「同団体については、在日韓国人・朝鮮人問題を広く一般に提起し、彼等に付与されている「特別永住資格」の廃止を主張するなど、「在日特権」をなくすことを目的として活動している組織と承知しています。」という回答があったことを公開。そのうえで「在日特権」とは何か、と質問したのだ。

 すると、山谷は「今、お読みになっている部分は恐らく、在特会のHPから引用したものをそのまま記しているんだろうという風に思います。」と信じられない弁明をしつつ、「法律やいろいろなルールに基づいて特別な権利があるというのは、それはそれで、私が答えるべきことではないと思います。」と、発言したのである。

 そもそも「在日特権」自体がまったく根拠のない、ヘイトスピーチのためのフィクションであることは今や国際社会の常識だ。ところが山谷は「私が答えるべきことではない」といいながら、思わず「特別な権利がある」と完全に認めてしまったのだ。しかも、在特会のHPそのまま引用して自らの認識としている事実......・

 当然、会見場は騒然となり、海外記者やフリージャーナリストから疑問の声がとびかった。しかし、山谷はそれに答えず、一方的に会見を打ち切ってしまったのである。

 
 いずれにしても、国家公安委員長が特定のレイシスト団体に明らかにシンパシーをもち、同一の差別思想を会見で口にしたのだ。普通なら、確実に閣僚辞任に発展する話だろう。

 ちなみに、山谷えり子については、保守派の小林よしのりもブログで警鐘を鳴らしている。
「山谷えり子は在特会だけではなくて、統一協会とも繋がりがあるらしい。」
「しかし、朝鮮人差別の「在特会」と、朝鮮人・文鮮明教祖の「統一協会」の二股をかけている山谷えり子とは、一体何者だ?」
「この山谷を「国家公安委員長」に任命した安倍晋三は、一体何を考えているのか? まったく恐ろしい! 日本はカルトに支配されつつあるのではないか?」

 だが、冒頭でもいったように、大新聞やテレビはこの問題を一切報道していない。日本外国特派員協会で行われた会見についても、その内容を詳しく報道したのは、前出のTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」と「日刊ゲンダイ」くらいだった。

「朝日問題で、マスコミは完全に安倍政権に対して及び腰になっていますからね。下手に批判したら、自分たちも朝日と同じ目にあう、と。とくに山谷や高市は安倍首相のお気に入りで、警察やテレビの許認可権をもっていますから、ほとんどさわれない」(ジャーナリスト)

 もはや、この国に言論の自由はないのか。
(エンジョウトオル)