安倍政権は2030年までに、管理職など指導的な地位に就く女性の割合を30%にするという目標を掲げています。ところが厚生労働省の調査によれば、企業の課長職以上に占める女性の割合が2013年度は6.6%と、11年度に比べて0.2ポイント下がってしまいました。こんなことでは、「男女平等」など夢のまた夢です。

 日本企業の管理職はなぜ男性ばかりなのか。かつては、「女性は短大卒が多いからだ」とされていましたが、90年代半ばから短大の4年生大学への鞍替えが相次ぎ、男女の教育格差は大幅に縮まりました。それにもかかわらず、女性管理職の比率は一向に増えません。

 さらに驚くべきことに、日本の会社では、大卒女子よりも高卒男子の方が管理職になる比率がはるかに高いという現実があります。日本企業では高卒でも40代のうちに6割以上が課長職以上になり、その比率は大卒の男性とほとんど変わりません。それに対して大卒の女性が管理職になる割合は40代半ばでも20%超で、それ以降はほとんど上昇しないのです。

 欧米では昇進・昇格の基準は学歴・資格・経験など客観的に評価可能なものでなければならず、年齢や性別、人種や宗教で判断すれば差別として重大な社会問題になります。この“世界標準”からすると、日本はいまだに性別で労働者を差別する前近代的な身分制社会、ということになります。

 しかしこのように批判されても、サラリーマンの多くは釈然としないでしょう。なぜなら、高卒の男性が大卒の女性より管理職に早くなれるのには“正当な理由”があるからです。

 日本企業における“公正”な昇進・昇格の基準とはいったいなんでしょう。

 経済学者の研究によれば、男女格差の要因として「週49時間以上働いているか」を加えると、日本企業の行動をきわめてうまく説明できます。さらに女性が長時間労働した場合、昇進率が大きく伸びることもわかっています。日本の会社は性差別というよりも、労働時間によって管理職への登用を決めているのです。

 しかし、労働時間を会社への貢献度として評価するのは、子どもを育てながら働いている女性にとってきわめて理不尽な制度です。中高年の男性は専業主婦に家庭のことをすべて任せているからこそ、深夜まで残業(サービス残業)できるのです。

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