歯科医に聞く。口臭のウソ、ホント

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えっ、く、口がにおうかも……。睡眠不足で目覚めた朝は特に、口臭が気になります。「口臭に悩む患者さまが増えています。中には、逆効果の口臭ケアをしている方もいます」と話すのは、歯学博士で口臭外来がある江上歯科(大阪市北区)の江上一郎院長。

口臭について耳にする情報の真偽について伺いました。

■だ液が減ると口臭が発生しやすくなる

Q1.ストレスや疲労がたまると、朝起きたときに特に口臭が強いように思います。実際にはどうでしょう?

江上医師 ○ 口の中のバクテリアの増殖や口臭を防いでいるのは、だ液です。でも、眠っている間はだ液がほとんど分泌されないため、口の中はバクテリアの運動場のようになります。ですから起床時は、誰でもふん便10グラムほどの不快なにおいがあります。

これを「起床時口臭」と呼びます。

また、だ液の分泌量、状態を司っているのは自律神経です。睡眠不足、ストレスがある生活が続くと、自律神経のバランスが崩れてだ液の分泌量が減る、また、ネバネバした質の悪いだ液が出るため、口臭は発生します。

つまり、疲れている朝は不快臭が増します。

だ液には自浄作用があり、口の中を洗い流す役割があります。だ液が少なくなると口の中が乾燥して荒れ、舌や歯ぐきの粘膜が剥(は)がれます。この粘膜や食べカスを餌にして、バクテリアが増殖していきます。このときに発生するガスが口臭となります。

量が多いときのだ液は透明でサラサラとしていますが、量が減って口が渇いているときは白く濁ってネバネバし、においが発生します。

当クリニックでは、口臭に悩む患者さんの80〜85%のにおいの原因は、「ドライマウス」という口の中が渇く症状です。

Q2.口臭が気になるときは、歯磨きを念入りにすればよい?

江上医師 × 歯磨きは、回数を増やしたり時間をかければいいというものではありません。歯を磨いたあとは、歯磨き剤の効果で一時的にスーッと爽快に感じますが、だ液の分泌が減少して酸性に傾いています。磨き過ぎは、口の粘膜を荒らすので逆効果です。

口臭が気になるときは、水を含んでグジュグジュとうがいをする、もしくは、歯磨き剤をつけずに歯を磨くほうがにおい予防としての効果は高まります。

Q3.お腹が空いたときは、口臭が強くなる?

江上医師 ○ Q1同様、空腹時はだ液の分泌量が減少します。ほかに、疲労時、加齢、歯周病や重度のむし歯、副鼻腔炎(ふくびくうえん)、糖尿病などの疾患が原因で口臭が発生することがあります。

一方で食後は、だ液が豊富に分泌され、バクテリアの数も減少するのでにおいは弱まります。

Q4.口臭を自覚したら、なるべく口を閉じておくほうがいい?

江上医師 × 口臭が気になる方は、話しをしないようにと口を閉じがちですが、これは逆効果です。だ液は主に舌の下側とほおの内側から分泌されるので、動かさないと舌の機能や顔の筋肉の働きが低下し、だ液の分泌量が減少します。

Q5.胃の調子が悪いと口臭が発生する?

江上医師 × 胃の内容物が直接、においの原因になることはありません。口臭は、口呼吸をするときに発生しますが、このとき口から胃に通じるルートは閉鎖されます。

ただし、逆流性食道炎などの病気で食道と胃のつなぎ目が緩んでいるときや、胃の不調でだ液の分泌が低下しているとき、ゲップをしたときは、ルートが開くので口臭がします。

最後に江上先生は、こうアドバイスをします。
「口臭がするなと思えば、疲れていないか、ストレスがたまっていないか、睡眠不足ではないかなどを自問自答し、だ液の状態を意識してください」

起床時や空腹時の口臭は自然なこと、また、歯磨きや口を閉じることは口臭のためにならず……。正しい知識でだ液の調子に注意しながら、口臭を予防したいものです。

(岩田なつき/ユンブル)

取材協力・監修 江上一郎氏。歯学博士。専門は口腔(こうくう)衛生。歯科・口腔衛生・口臭外来の江上歯科院長。日本口臭学会会員。
江上歯科 大阪市北区中津3-6-6 阪急中津駅から徒歩1分、御堂筋線中津駅から徒歩4分
http://www.egami.ne.jp/