『セクシー女優ちゃん ギリギリモザイク』(双葉社)

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 蒼井そら、Rio、つぐみら今やバラエティ番組に出演する人も多いAV女優たち。最近では彼女たちの活躍に憧れる女性が増え、AV業界の門戸をたたくこともあるという。

 身近になったとはいえまだまだ不明な点が多いのがAV業界。そのタブーに踏み込んだのが、元AV女優でいまや『アラサーちゃん』(扶桑社)の作者としても知られている漫画家の峰なゆか氏だ。『セクシー女優ちゃん ギリギリモザイク』(双葉社)では、ギャラや撮影のあるある、女優たちのヒエラルキーなど、AV業界の真実が描かれている。

 たとえば、一番気になる女優たちの出演料の問題。芸能人がAV作品に出演する際、週刊誌には出演料として「8,000万円」「1億円」とあまりにも高額な数字が報じられることが多いが、実際はAV業界も不況の波に勝てず、値下がり続けているという。一般の人が想像しているより、シビアな現実がある。

 AV女優のヒエラルキーは上位から、メーカーと専属契約をしている「単体女優」、元単体女優や人気のある企画女優を指す「キカタン」、素人ものやフェチ系作品に出演する「企画女優」に分かれる。おのずとギャラの単価もヒエラルキーを反映する形になるのだが、実はここに妙なからくりがあるのだ。というのも、単体女優は専属のため、撮影本数が少なめ。単価が80万円としても、撮影本数が1本のときは月収が80万円で、撮影以外の時間にはテレビ出演やサイン会などに充てられる。しかし、それらのギャラは「あってないようなもの」で、衣装代などを考えると赤字になることもあるというのだ。

 一方、キカタン女優の場合は、1本30万円と単価は下がるが、いろんなメーカーの作品に出演できるため、売れっ子ともなれば、1カ月に20本出演し、月収600万円にもなるのだ。

 辛いのは、企画女優。1本5万円という単価の安さに加え、企画女優の活躍の場であるフェチ系作品は撮影本数自体が少ないため、月に2本の撮影で月収10万円ということも。もちろんAVだけでは生活が成り立たないので、アルバイトをする人も少なくないそうだ。

 人気があれば、高収入も夢ではない職業だが、峰氏いわくAV女優は「肉体労働」。あまり公にならない疲労や苦労も多いという。

 たとえば、男性ユーザーが求む「潮吹き」。大量の潮を吹くために、撮影前に6リットルもの水分を補給することもあるという。しかし、水だけを摂取するのは危険。峰氏は「週刊大衆」(双葉社)のインタビューで、水を飲みすぎて水中毒に陥り、「実際、それで私は撮影後、病院に運ばれたことがあるんです」と驚きの体験を語っている。さらには、「イソジン原液でうがいしても喉にからみつく精液の味が消えない!!」というAV女優ならではの悩みから、女優の喫煙率は「異様に高い」そう。精液の後味を消すために煙草を吸い始める女優が多いというから、仕事の過酷さが伝わる。

 ギャラや撮影あるあるに加えて、男性AVファンに衝撃を与えるのは、疑似精液のからくりではないだろうか。最近のAVでは「中出し」が主流で、女優の股間から白濁液が流れ出る光景が、男性の欲情を掻き立てている。しかし、1日の撮影で数回の「本番」を求められる現場は、女優・男優どちらの体力をも消耗させる。そこで活躍するのが、疑似精液だ。

 しかし、途中でカットをかけてカメラのアングルを変えると、ユーザーに「偽中出し」がバレやすい。そこで、編み出されたのがスタッフとの連携プレーだ。セックスが佳境に入った時に、疑似精液の入ったスポイトを持ったスタッフが男優の背後に回り、カメラが女優のアップを撮っている隙にそれを手渡す。その数秒間に、男優はスポイルを女優の股間に注入する、といった手際だ。さらに峰氏いわく「中出しの時の疑似精子は"白いローション"で、ぶっかけのときは卵白と練乳を混ぜたものです。後者のほうがリアル精子に近いんです。ただ、マズイわ、冷たいわ......ぶっかけられているのに、思わず"冷たっ!"と叫んでしまい、撮り直しになったこともありました」とぶっちゃける。

 男性にとっては"ファンタジー"が崩れるばかりのタブー暴露かもしれないが、前出のインタビューのなかで峰氏は「AV業界って世間からすごく黒い世界だと思われているんですね。でも、AV女優は普通に仕事としてやっているだけで、やたら貶められるのも、美化されるのも、違うと思うんです。いい意味でも悪い意味でも"AV業界の幻想"をなくして、もっとAV女優のことを知ってもらえたら、私としてはうれしいです」と出版の経緯を語っている。AV女優がテレビ業界をはじめ活躍の場が広がってきたからこそ、彼女たちの「プロ意識」や仕事の裏側を知ってみるのも面白いのではないだろうか。
(江崎理生)