来年のワールドカップでは再び「連覇」というミッションに挑む。(C) SOCCER DIGEST

写真拡大

 その瞬間、宮間あやは、川澄奈穂美と「目が合った」という。
 
 左SBの臼井理恵が放ったロングフィードが、川澄の足下に届く。ボールが宙にある間、逆サイドにいた宮間はゴール前に走り込んだ。その動きを確実に捉えていた川澄は、宮間の動きに合わせるように、ボールを足下に収めてから一瞬のタメを作る。「ワンクッションを入れてくれた」と宮間も振り返る。そして、狙いすましたクロスを入れると、これを高瀬愛実がスルー。その裏でスタンバイしていた宮間が右足で丁寧に流し込んだ。
 
 しかし、日本の反撃もここまでだった。前半早々に先制され、52分に追加点を許した日本は、宮間のゴールですぐさま1-2と1点差に詰め寄ったものの、その後、カウンターからとどめの3点目を奪われて、万事休す。連覇は達成できなかった。
 
 銀メダルという結果について問われた川澄は、「悔しいです。それしか出てこないですね」と言葉を絞り出す。今大会の全6試合に唯一、スタメンで起用され、前半のみで退いた準々決勝の香港戦を除き、その他の5試合はフル出場を果たしている。
 
 決勝戦前日にコンディションについて訊ねると、「しんどくないかと言われれば、全然そんなことないですけどね(笑)」と笑顔を見せていたが、北朝鮮とのファイナルの舞台でもその豊富な運動量は変わらず、精力的に守備をこなしながらも、多くのチャンスを演出してみせた。
 
 日本の攻撃は、ほぼ川澄のいる右サイドから繰り出され、効果的なボールをゴール前に供給し続けた背番号9は、時には自らエリア内に進入してフィニッシュにも絡もうとする。ただし、北朝鮮の統制のとれたディフェンスをなかなか崩し切れず、日本はポゼッションで上回りながらも、シュートの数では相手に及ばず、勝利を手にできなかった。
 
「(相手の武器が)カウンターと分かっていても、やられてしまっているのは問題だと思います。これまでのメンバーであれば対抗できた、では、戦力の底上げにつながっていかない。自分も含め、この大会を通じていろいろと感じた部分はあるはずなので、それをチームに持ち帰って自分の糧にするかしかない」
 
 アジアの舞台では叶わなかった『連覇』という野望は、同じく来年の女子ワールドカップでも掲げられるだろう。チームメイトのみならず、指揮官からも厚い信頼を寄せられる唯一無二のアタッカーは、若手の成長を願いながら、自身のさらなるステップアップを誓った。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)