敗れたイラク戦ではチャンスがなかったわけではない。勝負どころで決めきる力をつけたい。(C) SOCCER DIGEST

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『苦手とするイラクにまたしても勝てなかった』――この世代は2年前のU-19アジア選手権準々決勝でイラクに敗れ、U-20ワールドカップ出場権を逃している。さらに今年1月のU-22アジア選手権でもベスト8で当たり、0-1と敗れている。そして今大会ではグループリーグの第2戦で対戦し、1-3と力負けした。
 
『ベスト4の壁をまたしても破れなかった』――上記のとおり、「アジア4強入り」のチャレンジに過去、二度失敗しているが、今回も準々決勝で開催国の韓国の前に屈した。目標とするリオデジャネイロ五輪のアジア枠はおそらく「3.5」。現状の「8強止まり」では五輪への切符を手にすることはできない。
 
 この二点を考えただけでも、悲観的にならざるを得ないのが正直なところだ。
 
 たしかに、クウェートやネパール、パレスチナを相手に多彩な形から多くのゴールを奪取した。イラク戦で挙げた唯一のゴールも、岩波拓也の縦パスを矢島慎也がフリックで流したのを起点に、鈴木武蔵がおとりとなって中島翔哉が抜け出し、GKとの1対1を制すという、流れるようなコンビネーションプレーでネットを揺らした。また4-3-3を軸に、5-4-1や4-2-3-1など複数のシステムを巧みに使い分けるなど、展開に応じた柔軟性のある戦いもできた。0-1で敗れた韓国戦でも、失点はPKによるもので流れの中で崩されてゴールを奪われてはおらず、しぶとく、粘り強い戦いを披露したとも言える。
 
 ポジティブな面を見出すことは可能だ。成長がなかったわけではない。むしろ、攻撃面でも守備面でも、1月のU-22アジア選手権に比べれば、格段に進歩していると言っていい。遠藤航のアンカー起用、複数人が絡んだ縦に速い連動性ある崩し、手倉森誠監督が言う「泥臭く守る覚悟」を体現した守備など、今後チーム強化を進めるうえでの軸となるポイントで、期待が持てる成果を出せたのは間違いない。
 
 個々が感じた悔しさはさらなる成長の発奮材料になる。ラインコントロールの再整備、カウンター攻撃のブラッシュアップなど、実戦を通じて改めて表面化した課題に気づけたのも、完全アウェーの韓国戦という貴重な経験とともに、大きな財産となるだろう。開催国との対戦を前に、緊張よりも「楽しみ」と言う選手が少なくなかったのも、頼もしさを感じさせた。
 手倉森ジャパンは着実に前進している。それは疑いようのない事実だ。ただ、その度合いは、繰り返しになるが、このチームにつきまとう『イラク』と『ベスト4』という命題を解決させるだけのパワーを持ち合せていなかった。自分たちが成長している一方で、他国も同じように力をつけてきているのは当然の話だ。結果だけで判断すれば、厳しい見方かもしれないが、世界大会行きを逃した2年前から、何も変わっていないということだ。
 
 ひとつの指標となるのは、やはり準々決勝の韓国戦だろう。ギリギリのところで身体を張って失点を防ぎ続け、0-0でゲームを推移させられたが、相手のシュートミスにも助けられた部分はあった。バイタルエリアまでボールを運び、何度も惜しい場面を作りかけたが、決定機と呼べるものは77分の矢島のボレーのみ。その他では、韓国の隙のない組織的なディフェンスと個の強さの前に、チャンスらしいチャンスは皆無だった。
 
 局面のインテンシティーで及ばず、グループ戦術でもスピードと力強さで後手に回った。相手の実力をリスペクトしたうえで、割り切って我慢の展開に持ち込んだチームにとって、最後の最後に決壊するのは最悪のシナリオである。残りわずかな時間でバッドエンドを書き換えるのは不可能に近かった。我慢しながらも、どこかのタイミングで形成を逆転するような策も十分ではなかった。
 
 21歳以下の構成で挑んだ日本に対し、韓国は23歳以下+オーバーエイジを加えていたという事情はたしかにあった。0-1というスコアを見れば、僅差の勝負である。善戦した、という評価はできるかもしれない。しかし、印象としてはやはり完敗だったように思う。
 
 隣国のライバルが浮き彫りにしてくれた若き日本代表の現実――。今のままでは五輪でのメダル獲得など夢のまた夢で、リオに到達することも難しいだろう。手応えを語るよりも、悔しさを噛み締めるよりも、課題と正面から向き合い、危機感を強く自覚しなければならない。それを怠れば、手倉森ジャパンの未来はない。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)