自由民主党公式サイト「自民党について」より

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 案の定、である。本日配信の総括特集「"朝日バッシング"安倍政権と読売、産経の問題スリカエ手口を一挙公開!」という記事でも指摘していたように、ニュースサイト・リテラは朝日問題の勃発以降、安倍政権が朝日の誤報を利用して慰安婦問題そのものを隠蔽しようとするだろうと指摘してきたが、とうとうその動きが現実になったようだ。
 
 自民党外交・経済連携本部国際情報検討委員会がこの9月19日にこんな決議をしていたことが判明したのだ。

「朝日新聞が慰安婦問題などにつき虚偽の報道であったことを認めた。朝日新聞が発信してきた虚偽の記事が国際的な情報メディアの根拠となり、国際社会が我が国歴史の認識を歪曲し、結果として我が国の評価、国益を著しく毀損した。朝日新聞の謝罪は国民の名誉と国益の回復には程遠いが、いわゆる慰安婦の『強制連行』の事実は否定され、性的虐待も否定されたので、世界各地で建設の続く慰安婦像の根拠も全く失われた」

 朝日の報道が誤報を認めたから、性的虐待も否定された、だと? 自民党政権は吉田証言とは無関係な、フィリピン、オランダ、インドネシア、オーストラリアなど世界中の慰安婦が証言している性的虐待の事実もすべてデタラメということにしてしまう腹づもりらしい。もちろん、本サイトが暴いた中曽根康弘元首相が「土人女を集め慰安所をつくっていた」という防衛庁の戦時記録も、産経の総帥・鹿内信隆が陸軍経理学校で女の耐久度チェックを学んでいたという事実もないことにしてしまうはずだ。

 だが、日本のメディアはおそらくこうした動きを批判することはないだろう。むしろ、こうした動きに批判の声をあげる者を「反日」「売国」のレッテルを貼って、吊るし上げる。それが今の日本の言論状況だ。
 
 しかし、こんな論理が通用するのは、それこそこの島国の中だけだ。「週刊現代」(講談社)10月11日号が「世界が見た『安倍政権』と『朝日新聞問題』」という特集記事で、海外メディアの日本特派員や海外の識者・ジャーナリストの声を紹介していたが、これを読むと、日本の朝日バッシングがいかに異常に受け取られているかがよくわかる。

 たとえば、フランスの一流紙「フィガロ」の東京特派員のレジス・アルノー氏はこう語っている。
「今回の朝日叩きは、政府によるメディアリンチですよ。これは大罪です。そのうち『慰安婦を組織したのは朝日新聞だった』などと言い出すのではないでしょうか。それくらい馬鹿げたことをやっていると思います」

 テンプル大学ジャパンのジェフリー・キングストン教授の見解はこうだ。
「いま日本で起こっている状況は、報道問題というより政治問題です。安倍首相と保守派が、国家アイデンティティを再定義したいがために朝日に対して政治闘争を仕掛けているのです」

 また、「ニューヨーク・タイムズ」のマーティン・ファクラート氏はこうコメントする。
「朝日問題にかこつけて言いたい放題なのが安倍政権です。朝日の報道がウソだったからといって、慰安婦問題自体がウソだったことにはなりません。(中略)朝日を執拗に非難する安倍政権や右派の人々と、世界の乖離を感じます」

 ドイツ高級紙「フランクフルター・アルゲマイネ」の元東京特派員、バーバラ・オードリッチ氏はこう話す。
「福島原発も戦争責任も、これまで日本政府が隠蔽してきたことで、朝日はそれらの追及を行ってきたからです。それを安倍首相は、右翼的言動で封殺しようとしている。(中略)安倍首相は『積極的平和主義』を唱えていますが、EUから見れば『積極的右翼主義』にしか見えません」

 さらに、米スタンフォード大学アジア太平洋研究センターのダニエル・スナイダー副所長はここまで断じている。
「今回のヒステリックな朝日叩きは、日本における言論の自由の危機、デモクラシーの危機、歴史的事実の危機という『3つの危機』を露呈させました。いまの日本で起こっているのは、ずばり『言論テロリズム』です。そのうち、安倍自民党の一党独裁国家になってしまう危険性を孕んでいます」

 ようするに、海外の特派員やジャーナリストはみんな、今回の朝日バッシングが安倍政権の仕掛けであることを見抜いているのだ。そして、この問題を使って右傾化が一気にエスカレートしていくことに一斉に警鐘を鳴らしている。

 ところが、日本の国内ではなぜかほとんどの人がそのことに気づかず、右派メディアに煽られてひたすら朝日叩きに熱狂しているのである。これぞまさに"タコツボ"。

 ちなみに前出の「フィガロ」東京特派員のアルノー氏はこんな発言もしている。
「安倍首相を始めとする日本の右傾化した政治家たちは『朝日新聞は国際社会における日本のイメージを損ねた』と声高に叫んでいますが、事実は正反対です。仮に、日本の全メディアが、産経新聞のように報道してきたなら、今頃日本は国際社会において、どの国からも相手にされなくなっていたでしょう」
 
 いや、今、まさにそうなりつつあるんですけど......。
(エンジョウトオル)