アヒル氏
アベノミクスで発生した急激な円安トレンド後は、横ばい状態が続くFX。だが、長者たちはここでも勝つ手法を編み出していた!

◆リーマンショックで相場退場した男の復活劇
<総資産6000万円/スイング:アヒル氏>

 手持ち資金の30万円がわずか1か月で10倍に――! アメリカ在住の兼業トレーダー・アヒル氏が、そんなFXの“妙味”を知ったのは’07 年のことだった。サブプライム危機が本格化した当時、6月に1ドル=123円だったドル円相場は11月には108円まで急伸するという、ジェットコースターのような円高相場。彼はそこに200〜300倍のハイレバレッジをかけて儲けまくったという。しかし、08年9月、“あの日”が来る――。

「リーマン・ショックで、朝に目を覚まして取引サイトにアクセスしてみたら残高がゼロになっていました。投資元本もそれまで稼いだ利益も、夢から覚めたかのように消えてしまった……」

 そのトラウマも影響し、彼は2年近く投資ができなくなった。しかし、FXを一から勉強し直し、’10 年に24万円を元手に再開。それが奏功し、’12 年以降では4000万円超を稼いだ。

 そんな彼の手法は主に2種類。RCIを使った裁量トレードと、イフダン注文を手動で繰り返し入れるやり方だ。

「RCIは4時間足で短期、中期、長期を使っています。3本のラインが上もしくは下に重なった、いわゆる『三重天井』と『三重底』狙い。エントリータイミングは大きく4つあって、三重天井のときにショート、三重底はロング、三重天井から短期シグナルが一気に底へ向かったらロング、三重底から短期シグナルが一気に天井へ向かったときにショートです。利確はその時々のシグナルを見て判断。損切りはシグナルの形が崩れたとき、もしくは逆方向へ30 〜50pips動いたときですね。ただ、この手法の問題点はこれらの条件がなかなか揃わないということ。条件が揃ったときにはかなり有効な手法なんですが……」

 そこで、もう一つの手法の出番。

「10〜20個のイフダン注文を同時に仕掛け、一つのポジションが決済されたら同じ値幅で再注文。これを繰り返すんです。米ドル/円の場合、注文は10pips間隔に設定し、利確目標は50pipsです。特定のレンジ狙いではなく、相場の動きに合わせて移動させて損切りはしないスタンスですね。この手法を使い始めたのは、短期では予想が当たることはあっても、中長期で見通すのはかなり難しいと思ったからです。相場に一喜一憂することなく、リスク管理をしたうえでイフダン注文を繰り返すほうが有効だなと」

 ただ、こういった戦法は「少なくとも来年末もしくは再来年末まで緩やかな円安が続くという考えが基になっている」と、アヒルさん。その流れを壊す大イベントが起こった際には一端、取引停止も視野に入れているという。

「例えばアメリカのテーパリング中止や、日本のゼロ金利政策や量的緩和の解除などですね。これが起これば手法を変えるか、もしくはいったん取引をやめてもいいと考えています」

 一度、地獄を見た男は撤退する勇気が大切なことも知っているのだ。

<教訓>
テーパリングの行方にも注目。円安路線が崩れたら、いったん撤退する勇気も!

【アヒル氏】
[投資歴:2007年より8年(一時退場)/アベノミクス益:4000万円/主な通貨ペア:米ドル/円]アメリカ在住の35歳。リーマン・ショックで資産をほぼ失うが、アベノミクスがもたらした円安に乗ってFXで4000万円以上儲けることに成功した。昨年12月からは日本株も再開

取材・文/牧 隆文 谷道健太 高城 泰(ミドルマン) 元山夏香 イラスト/サダ 図版/ミューズグラフィック
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