ダメ押しの3点目をアシストした宮間。主将としてピッチの内外で存在感を放っている。(C) SOCCER DIGEST

写真拡大

 宮間あやの縦パスを、増矢理花がフリックで高瀬愛実に預けようとする。あるいは、阪口夢穂からのパスを受けた高瀬の落としを、宮間が受けて展開する。また別のシーンでは、阪口から受けたボールを宮間が川澄奈穂美へとつないで、川澄のクロスから増矢が決定的なチャンスを迎える。
 
 大会を勝ち進むにつれ、3人目の動きが絡んだコンビネーションプレーの数は増え、精度も高まってきている。その中心にいる宮間も、改善の余地を認めつつも一定の手応えを得ているようだ。
「崩しの場面は意識していて、特にこだわっています。まだまだ課題もありますが、多少良い部分も出せたかなと思います」
 
 抜群のボールスキルを備え、左右両足で通す正確なパスと持ち前の戦術眼を駆使してゲームをコントロールする。世界屈指のプレーメーカーとして名を馳せる宮間は、今大会でも随所にハイレベルなパフォーマンスを披露し、チームを勝利へと導いてきた。
 
 ベトナムとの準決勝でもその安定感、貢献度の高さは変わらず、冒頭で記したような連動性ある攻撃を演出するのはもちろん、得意のセットプレーでも冴えを見せた。74分にはショートコーナーから、菅澤優衣香のゴールをアシスト。「いろんな選手がいますし、工夫もするよっていうのを、決勝に向けて、相手にもちょっと見せておきたかった」と、ダメ押しとなるチーム3点目を振り返る。
 
 決定的な仕事だけでなく、チームメイトの良さも引き出す。この試合では、ボランチの宮間からトップの増矢への縦パスが多く見受けられた。増矢のボールを受ける動きが改善されたのも理由のひとつだろうが、宮間がシュートを打てるシチュエーションでも増矢へのパスに切り替えた場面を見れば、今大会で代表初招集を受けた期待のストライカーに対する強いメッセージが込められていた気がした。
 
 また、最終ラインからほとんど効果的なパスを受けられず、右サイドで孤立気味だった川澄に対し、「彼女がスピードに乗った状態でプレーできるように」と、川澄が前を向いてボールを持てる状況を何度か作り出していたのも、背番号8だった。
 
 その視野の広さ、観察眼、献身ぶりは実際のプレー面だけに留まらない。チーム全体を俯瞰して若手の成長を促し、いかにひとつにまとめられるかを常に考えて、行動に移す。試合の合間のトレーニングでは、佐々木則夫監督から「いい加減に上がれ!」と言われるぐらい、最後までボールを蹴り続ける。サッカーをこよなく愛する頼れるキャプテンは、連覇の懸かったファイナルでも変わらぬ姿で、魂のこもったプレーを見せてくれるはずだ。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)