朝日新聞報道問題に関するリテラの記事を怒濤の総括!(イメージ画像は『朝日新聞』8月5日朝刊より)

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「朝日の別働隊」「韓国の回し者」「クソサヨク」「反日キチガイサイト」「共産党」

 本と雑誌のニュースサイト・リテラが展開してきた朝日問題報道に対して、ネットではこんなレッテル貼りがあふれている。 これはある意味、勲章だ。 きっと連中は焦っているんだろう。せっかく朝日叩きの流れができあがっていたのに、そこに水を差して自分たちの企みを暴こうとするやつらが現れた、と。

 そう、リテラはこの間、一斉に右へならえするメディアにくみせず、朝日叩きにウラがあること、そして問題の本質を歪めて自分たちの権力拡大や商売に利用しようとしている連中がいることをあくまで実証的に指摘してきた。

 刮目してこれまでのリテラの朝日問題記事をもう一度よく読んでほしい。安易な朝日叩きメディアとリテラ、いったいどっちがスジが通っているか、きっとわかるはずだ。


■「事実を都合のいい方にねじまげ」ているのはどっちだ?■

 まず、リテラが最初に指摘したのが、"トンデモ誤報"は朝日に限った話じゃないということだった。読売新聞、産経新聞は朝日に対して「事実を都合のいい方にねじまげ」たと批判したが、むしろ、それは彼らのお家芸といってもいい。

  産経は今年5月、安倍首相がアジア安全保障会議でスピーチした際、「靖国参拝発言」で会場が「拍手に包まれた」と報道したが、ネットの指摘で拍手が起きたのは靖国発言の時ではなかったことが発覚した。

 一方、読売は福島原発の事故報道をめぐっても誤報をおかしたことがわかっている。2011年5月、一面トップで当時の菅直人首相が「海水注入中断」を命じ「震災翌日、55分間」の中断があったと報じたが、これを命じたのは東電の武黒フェローだったことが吉田調書から判明したのだ。しかしこの件について、読売は謝罪はおろか、何の説明もしないまま未だ無視し続けている。

 だから、朝日が許されるといいたいのではなく。このレベルの誤報はすべてのメディアで起きているということ。にもかかわらず朝日だけが「世紀の犯罪」を犯したかのように報道機関を袋だたきにして、「社長の辞任」まで求められているのは明らかに異常な事態なのだ。その裏にはいったい何があるのか。


■読売、産経の朝日叩きのバックには安倍官邸がいた■

 朝日バッシングの裏にいるのは、安倍晋三首相が率いる官邸だ。それは福島原発事故報道のミスリードが指摘された吉田調書問題がわかりやすい。これまで吉田調書の公開をかたくなに拒んできた安倍政権が一転、公開を決めたのは、朝日潰しの材料にできると考えたからだった。そして、公表前の調書を読売、産経の2紙にのみリークしたのだ。

 もちろん朝日の報道には問題がある。だが、吉田調書で重要なのは、福島第一原発の事故は、所長自身が「東日本壊滅を覚悟しなければならなかった」ほど恐ろしいものだったと率直に語っていることなのだ。ところが、読売と産経は朝日の誤報と当時の菅直人首相の対応のまずさを書き立てるだけで、この最も重要部分をほとんど報じていない。

 読売、産経は周知のように、何十年も前からから自民党政権とともに原発導入の旗ふり役をつとめてきた。まさに原発シンジケートの一角をなしている2 つのメディアが、同じく原発再稼働をもくろむ安倍政権とともに仕掛けた情報誘導、というのが吉田調書騒動の本質なのだ。


■安倍政権と読売、産経による論点すりかえは慰安婦問題でも■

 安倍政権と右派メディアが手を組んで事実をねじ曲げ、問題の本質を隠蔽しているのは、「慰安婦問題」も同様だ。

 安倍政権と読売、産経など右派メディアは、朝日新聞がいわゆる吉田証言を取り消し全面謝罪したにもかかわらず、「朝日の誤報が国際社会の誤解を生んだ」「国連のクマラスワミ報告撤回を要求せよ」と大合唱をしている。クマラスワミ報告というのは1996年に国連人権委員会が日本の従軍慰安婦制度を「性奴隷」と認定した報告書だが、この根拠になっているのが吉田証言。朝日はその責任を取れというのだ。

 まず、安倍晋三首相や菅義偉官房長官ら政権幹部が会見やインタビューでこうした趣旨の発言をして、読売、産経、右派ジャーナリズムがこれに呼応する形で大合唱は始まった。

 ところが、クマラスワミ報告をきちんと読んでみると、吉田証言にふれているのは序文の数行。しかも、秦郁彦氏による吉田証言への反論も併記されている。吉田証言と国連の「性奴隷」の認定には、実はなんの関係もなかったのだ。

 読売と産経、そして安倍政権こそが論点をすりかえて、従軍慰安婦そのものを封じ込めようとしている。彼らは朝日が歴史的犯罪を犯したと断罪するが、リテラからいわせると、犯罪的なのはどっちだ、という話だ。


■中曽根元首相が「土人女を集め慰安所を開設」していた証拠■

 慰安婦問題を隠蔽しようとする自民党政権だが、実はその重鎮が慰安所を作り慰安婦の調達までしていた事実がある。先の大戦で海軍主計士官(将校)の地位にあった中曽根元首相が自分の"手記"の中で、この事実を書いており、しかも、防衛省にそれを裏付ける戦時資料が存在していたのだ。そこには、部隊の隊員によるこんな文言が書かれていた。

「主計長 海軍主計中尉 中曽根康弘」「主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設」


■産経の総帥が軍の慰安所づくりを大自慢「女の耐久度チェックも」■

 ほとんど知られていないが、産経という新聞は、会社のトップが慰安所づくりを自慢するようなところだ。

 総帥というのは元産経新聞社長で、フジサンケイグループ会議議長だった故・鹿内信隆のこと。鹿内は戦中、陸軍経理部に招集されていたのだが、産経社長就任後に桜田武・元日経連会長との対談集『いま明かす戦後秘史』(サンケイ出版/絶版)で、陸軍時代の思い出話として、慰安所設置について自慢げに語っている。

 鹿内「そのときに調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか......といったことまで決めなければならない(笑)」


■関東大震災で朝鮮人虐殺を煽ったのは、読売の総帥だった!■

  一方、読売新聞のオーナーは関東大震災の朝鮮人虐殺を煽った張本人だ。日本史上最悪のジェノサイドのきっかけとなった朝鮮人暴動のデマは、戦後、読売新聞社主として君臨した正力松太郎が警視庁官房主事時代に広めたことがわかっている。

〈デモや集会を取り締まり、朝鮮人学生のひそかな独立運動に目を光らせていた〉正力が、そのデマに振り回され、〈軍人達に「こうなったらやりましょう!」と腕まくりをして叫び、警視庁に駆けつけていた新聞記者たちには「朝鮮人が謀反を起こしているといううわさがあるから触れ回ってくれ」と要請〉したのである(『九月、東京の路上で』より)。


■読売新聞の朝日叩きは、拡販が目的だった!■

 しかも、読売や産経の朝日叩きは、表向き「日本の名誉回復のため」なんてことを装いながら、実態は単なる商売でしかない。

 読売の販売現場では、いま「A紙作戦→千載一遇のチャンス!」と銘打った大々的な朝日追い落とし作戦が展開している。今年8月には「慰安婦報道検証 読売はどう伝えたか」という、朝日の誤報を検証する記事や朝日を非難する読者の声、識者のコメントをダイジェストしたリーフレットが会社の費用で作成され、各販売店に配布された。同時に、紙面でも「検証 朝日『慰安婦報道』」という連載を始め、朝日批判をしている週刊誌の広告は同じ料金で大きなスペースを提供するという念の入れようだ。 それもこれも落ち目の新聞の拡販のため、商売のためだというから情けない。


■言論機関の自社批判封じは朝日だけじゃない。読売、日経でも!

 朝日新聞の「週刊文春」「週刊新潮」の"自社批判"広告拒否についても批判の声が上がっている。言論機関としてあるまじきことで、批判されても仕方がないと思うが、実は新聞業界ではこれまで数々の広告拒否・改竄問題が起こっている。

 読売新聞などは、まさにその常習犯だ。例えば、読売は2000年、突如、「週刊現代」の広告掲載拒否を発表した。「週刊現代」は当時、読売の首領・渡辺恒雄会長批判や巨人軍選手と暴力団との関係を連続して報じていた。日経新聞も2003年に「週刊現代」が「日経新聞『社長解任』クーデター証拠文書を公開!」と報じた際に、広告でその見出しを真っ黒に塗りつぶさせた。2012年には日経の社長と美人デスクの親密な関係を報じた「週刊文春」の広告を拒否して大きな問題になった。


■朝日に批判コラム拒否された池上彰サンもリテラに同調!?■

  問題の本質をネグって"朝日吊るし上げ"に熱狂する読売や産経、そして安倍政権に対して、リテラは「おまえたちも同じアナのムジナだ!」と徹底批判を展開してきた。だが、いくら書いても孤立無援、リテラの意見に同調してくれる新聞、テレビ、雑誌は皆無......だと思っていたら、なんとあの池上彰センセイがリテラに同調してきた!

  週刊文春9月25日号の連載コラム「池上彰のそこからですか!?」で、朝日を叩いている他のメディアも同じようなことをしていると指摘したのだ。池上サンは〈あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい〉という聖書の一節を引いた上で、自らが体験した他紙での掲載拒否事件を次々と暴露した。


 どうだろう。リテラが安易な朝日叩きを批判してきた理由がわかってもらえただろうか。改めて断っておくが、リテラは朝日を擁護したいわけではない。あんなクソ官僚新聞は大嫌いだし、言論の相互批判はどんどんやるべきだと思っている。だが、読売や産経が安倍政権とタッグを組んでやっている"吊るし上げ"には、問題の本質を隠蔽する意図がある。これを放置していたら、日本の言論状況はどんどんおかしくなっていくだろう。

 本来、こういうことはリテラではなく朝日新聞社がきちんと反論すべきなのだ。誤りをきちんと訂正し、謝罪するのはかまわないが、それが政治利用されないように、従軍慰安婦は日本軍の性犯罪だ!原発は危険だ!ときちんと主張すべきなのだ。そして、読売、産経の誤報や総帥達がおかしてきた犯罪的行為についても徹底的に追及する必要がある。それが言論機関としての責任だろう。

 ところが、今の朝日新聞からはそんな姿勢はみじんも感じられない。ひたすら頭を低くして、「信頼回復」などという薄っぺらな言葉でその場をしのごうとしている。

 そういう意味では、今回の最大の元凶は、やはり朝日にあるというべきなかもしれない。いっておくが、問題は誤報をおかしたことではない。権力と正面きって喧嘩する覚悟もない、その弱腰ぶりが日本の言論状況をおかしくしているのだ。
(リテラ編集部)