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ハイチーズ! パシャリ。モニターを見てみると、ん〜なんか違う、と思うことありません? 被写体がボケて背景はごちゃごちゃ、構図も平たい。これではただのログ写真。大事な思い出をちゃんと残したいのに……。

そこで立ち上がったのがR-1グランプリの常連、「あたりまえ たいそう〜♪」でも知られるお笑いコンビ:COWCOWのツッコミ担当:善し(よし)。実はこの善し、よしもときっての芸術肌で、アートギャラリーを下北沢にオープンさせ、芸人の芸術性を伸ばす活動を行ったり、自身が部長となり『よしもと写真部』を結成するなどクリエイティブな行動を積極的にしていることでも有名なのだ。



そんな善しが9月12日、デジタルカメラのハウツー本『パパとママのための にっこり写真のレッスン』を発売した。この本、今までの指導本と違い、被写体にナイナイや東野幸治など、いろいろな芸人が登場していることも話題を呼んでいる。「カメラを買ったその日から写真を楽しくする本」と語る善しに今回はインタビューを敢行! 写真のことやCOWCOWのこれから、さらには『あたりまえ体操』は今後どう進化していくのかを聞いてみた。



--いまさら人に聞けないISO感度や絞りなど、図解付きで丁寧に紹介されていて、とてもわかりやすい内容でした!

「ありがとうございます! ハウツー本ということで、初心者の方にカメラの楽しさを知ってもらえればと思って作りました。絞りもそうですけど、より深いカメラ道に一歩踏み入れることができる内容になっているのではと」

--少し前に“家族・子どもギライ”で有名な『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の名物スタッフ:世界のヘイポーさんを家に招いて、それを克服させたほどの家族思いとしても知られる善しさん。今回も家族の写真をレクチャー用に数多く使われていますね。

「ご家族を撮るという方にも“あ、こういう時にこういう感じで撮ったらいいんだ”という参考になればうれしいですね。ただまあ、写真って正解はないと思うんで。基本以外はあくまで自分目線で、僕の好きな感じで書いてます」



--なるほど。善しさんが好きな撮影方法がこんな感じなんだよ、という内容でもあるんですね。それにしてもナイナイやブラマヨ、雨上がり宮迫さんや千原ジュニアさんなどが登場し、芸人を絡めたコーナーが写真本としては新しいですね。芸人のオフショット集としてもおもしろい。

「ハウツー本の被写体がテレビで見ている人だと、なおさらわかりやすいですよね。この芸人さん、こんな表情するんだ、って。実際にはこれを皆さんのお友達とか上司とかに置き換えて考えてもらえるといいかと」

--東野さんとかいい表情ですよね。これらはどういうタイミングでシャッターを切るんですか?

「“コイツはカメラをいつも手にしているやつなんや”と、みんなに思わせれば自然な表情が出てくるようになりますね。“また撮ってるわ”と。だれも気にせえへんようになったら、素の顔になってくれますね。カメラを持っているんだけど空気みたいな存在になれば、よりいい写真が撮れるんじゃないかなーと思います」

--『よしもと写真部』の立役者でもある善しさんですが、部員である芸人の写真の撮り方ってそれぞれ違いますか?

「(『よしもと写真部』は)もとは大阪で小籔(千豊)とああだこうだといっていたのが始まりなんですけどね、それから東京に来て、レイザーラモンRGや吉本新喜劇の石田(靖)さん、ポイズンガールバンドの阿倍(智則)ちゃんなんかが入ってきたんです。たとえば小籔とかは僕と全然違うものを撮ったりするんですよ。彼はすごくカメラマンみたいな写真を撮りたいっていうんです」

--たとえばどんな?

「飛行機の機内誌の風景写真のような、構図もばっちりで光の入り方もばっちりなのがいいと。でも僕ってわりと、ちょっと気になった瞬間を感覚で撮るのが好きなもんで、撮影会が終わって呑みにいったらお互い否定のしあいですよ(笑)」

--そこは認め合わないんですか……。

「楽しくない呑みになったことが幾度あったことやら……。自分は間違ってへんと」



--そんなモノの見方が芸にも影響しているのでしょうか。COWCOWといえば、“あたりまえ たいそう〜♪”がおなじみですが、少し前に善しさんが愛犬パルと一緒にあたりまえ体操をしている映像を見ました。こうきたか、まだあるのか(笑)と思いましたが、そのさらなる進化系ってあるんですかね?

「以前にYouTubeであたりまえ体操のインドネシア語バージョンをアップしたんですけどね、それがインドネシアで予想外の人気になってまして(※2014年9月現在、再生数が350万以上!)、今年だけで2回、向こうに行っているんです。来週もまた行くんですけど。そんな感じで海外への認知を高めて、2020年の東京オリンピックのどっかのイベントにねじ込んでくれへんかな、と(笑)」

--あの体操はみんなで楽しめるから、たしかに世界に広げやすいのかもですね。あとCOWCOWといえば一発ギャグの宝庫、というイメージもあります。

「ネタってふとした時にひらめくんですけどね、それを整理しようとして家でマジックで絵を描いている姿とかを子どもが見て、“父さん、遊んでんちゃうんか?”と誤解されているような気がするんです」

--(笑)。

「“これは仕事なのか?”と(笑)。そんな状況になるんで、必ずテレビに出る時はちゃんと子どもに見せてるんですよね。これでお父さんはお金をもらってるんだよ、という図式を知っておいてもらわないといけない」



--明確にしておかないと威厳がたもてないわけですね(笑)。最後に今後、ピンとして挑戦していきたいことはありますか?

「こういう写真とか絵とか、お笑いと離れたものもやっていきたいですね。写真も、より突っ込んだアラーキーさんみたいなものが撮りたいんですけどね。でもあんまり行き過ぎて今度は芸人として、笑えないヤツになったりして(笑)」