9月特集 アジア大会2014の発見!(19)

 アジア大会の男子サッカー準々決勝で、日本は地元・韓国に0−1で敗れた。4年前に続く金メダル獲得を狙った日本だったが、2連覇はならなかった。

 試合終了直前のPKを取られるという悲劇的な結末ではあったが、内容的に見れば妥当な敗戦だった。

 試合は地元の大声援に後押しされた韓国が、終始日本ゴールに迫る展開が続いた。日本にも何度かチャンスがあったが、概(おおむ)ね攻勢に試合を進めていたのは韓国のほうだ。

 ボール支配率は韓国56%対日本44%。シュート数は韓国11本対日本3本。コーナーキック数に至っては韓国4本に対して、日本はゼロだった。数字にもその事実がはっきりと表れている。

 それでも前半に関しては、日本もうまく戦えていたと思う。奪ったボールを攻撃につなぐこともできていた。センターバックの岩波拓也は言う。

「韓国は勢いがあって球際に強かったが、(プレスを)一個外せばチャンスになると思っていた。前半はいい戦いができたんじゃないかと思う」

 だが、ハーフタイムを挟み、流れは一変した。岩波が続ける。

「韓国は後半、早い時間から前に出て、点を取りに来た」

 左MFの中島翔哉が「自分がボールを受けて時間をつくることが必要だった」と話したように、後半の日本はただ自陣で耐えるばかりで、反撃に出ようにも前線にボールが収まらない。ほとんど韓国陣にすら入れなかった。ボランチの遠藤航が振り返る。

「最後(のゴール前の場面で)体を張って守ることはイメージしていたし、ワンチャンスを決めたいと狙っていたけど、チャンスなく終わってしまった」

 PKは不運な面もあったが、あれがなければと悔やむほど、拮抗した内容だったわけではない。

 それでも手倉森誠監督は試合後、「きれいに(パスをつなぐサッカーを)やろうとするだけでなく、泥臭く守ることもできた」と選手の成長を称えた。

 確かに、その通りだとは思う。4年前のアジアユース選手権(U-16)準々決勝で韓国と対戦したときには、あっけないほどロングボール一発でチャンスをつくられていたのが嘘のように、日本は韓国の力任せの攻撃にも簡単に屈しなかった。4年前からこの世代の守備を支える岩波、植田直通の頼もしいセンターバックコンビが、日本には稀(まれ)な人材であることを改めて確認できた。

 また、相手にPKを与える痛恨のファールを犯したMF大島僚太にしても、今大会の落ち着いたボール扱いは際立っていた。

 2年前のアジアユース選手権(U-19)に出場したときは、Jリーグでの経験とは裏腹に頼りなさのほうが目についたが、明らかな成長を遂げていた。

 成長途上の選手ばかりの未完成なチームであることを考えれば、ポジティブな材料を挙げることは可能だろう。

 舞台は日本にとってはアウェーであり、"純U−21代表"の日本に対し、相手はU−23代表にオーバーエイジ(24歳以上)の3選手も加えていた。勝負の条件は相手に有利だった。

 しかし、である。相手はアジア勢のひとつにすぎない韓国である。ドイツやスペインと戦ったわけではないのだ。

 にもかかわらず、「粘り強く、泥臭く守った」ことが収穫では、あまりに"下から目線"が過ぎるのではないか。勝負なのだから、負けることもあるが、結果は別にして内容が悪すぎる。

 日本の若い選手たちが劣勢を強いられる試合を見ていて思い出したのは、同じ韓国(ソウル)で開かれた昨年7月の東アジアカップでの日韓戦である。

 日本は柿谷曜一朗の2ゴールで2−1と韓国に勝利したものの、このときも内容的にはほぼ一方的に押し込まれた。

 当時の試合はA代表同士。だが、互いに若手や新戦力を起用し、A代表の底上げを狙った試合だったという意味で、今回の対戦と似たところがあった。そして日本は、再び韓国に試合内容で大きく上回られた。東アジアカップでの試合内容が偶然ではなかったことが、あらためて証明されたと言ってもいい。

 次代を担うべき若い世代において、韓国に決して小さくない差をつけられている。ショッキングな試合と言っては大袈裟かもしれないが、そうした危機感をもっと感じるべき試合だったのではないかと思う。

浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki