藤田寛之が若手に“喝”(撮影:上山敬太)

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<アジアパシフィックオープン ダイヤモンドカップ 最終日◇28日◇大利根カントリークラブ 西コース(7,102ヤード・パー71)>
 JGA、JGTO、アジアンツアーの共同主管競技「アジアパシフィックオープン ダイヤモンドカップ」は藤田寛之の大逆転優勝で幕を閉じた。今回の優勝によって藤田は賞金ランク1位に浮上。45歳にして2度目の賞金王獲得を射程圏内にとらえた。
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 藤田が40代に入って見せた活躍については今さら語る必要もないだろう。藤田はこれまでツアー通算18勝を挙げてきたが、その内12勝を40代になってから成し遂げたものだ。2012年には年間4勝を挙げて初の賞金王を獲得。その年は藤田だけでなく、同じ40代の谷口徹が2勝を挙げて、藤田と熾烈な優勝争いを展開。“中年の星”として同年代のファンを大いに沸かせた。
 40代のベテラン選手がエネルギッシュに活躍する一方で、気になるのは元気のない若手選手たちだ。昨年は松山英樹が驚異的な活躍を見せて、若手の台頭が見られたが、今季の優勝者を見ても、20代の選手は小平智のみで、残りは全て30歳以上の選手たち。同じく40代の手嶋多一がメジャー「日本プロゴルフ選手権 日清カップヌードル杯」で優勝するなど、ベテラン選手たちがめざましい活躍を見せている状況だ。
 藤田はこの状況について、「若手に良い選手はたくさんいるけど」と前置きした上で、「275ヤードアベレージのドライバーで、技術的には上手いかもしれないけど、この“おじさんゴルファー”が年間3勝しているジャパンゴルフツアーはどうなのか…それはあえて声を大にしたいですね」と自身の活躍を例に苦言を呈した。
 藤田いわく、「40代がバンバン勝ってるツアーなんて世界のどこにもない」。世界のツアーではローリー・マキロイ(北アイルランド)を例に見てもわかるように、20代の選手であっても驚異的な活躍を見せている。しかし、日本ではどうかというと、松山や石川遼などごく一部の選手が活躍しているだけで後が続かない。世界の舞台を知る藤田は、「若手の意識改革は必要かもしれないですね」と話した。
 「今度、バッバ・ワトソンやアダム・スコットが来ますよね。そういう選手たちが来た時に“飛ぶ飛ぶ”とか“すげえ”とか言ってるようじゃダメなんです。そこに対抗する気持ちを持たなくちゃ。松山くんは強気な発言をしているように見えるけど、ああいうレベルで物事を考えないと世界では通用しないんです」。自身が4大メジャーの舞台で戦い、世界で戦うにはどれだけのレベルが必要かを知る藤田は、若手に必要な意識をこのように説明した。世界のトップ選手に羨望の眼差しを向けるのではなく、ライバルとして対抗意識を燃やす。今、日本の若手選手に必要なのはそんな強い気持ちだ。
 「優勝して、世界への切符をつかんで、そして松山くんたちと海外でプレーする選手が増えないとダメだと思う」。40代のベテラン選手が活躍することで勇気付けられる人は多いだろう。しかし、ツアーが活性化するためにはそんなベテラン選手を跳ね返す実力を備えた若手選手の活躍が必要不可欠。もちろん容易なことではないが、松山に続くような若手選手が現れることを期待せずにはいられない。
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