アンカーとして攻守の舵取りを任される遠藤。「前から行くか、ブロックを組むか」の判断が重要と語る。(C) SOCCER DIGEST

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ポイント1)大会を通してのチームの熟成度は?
 連覇が期待されるなか、結果を求めることはもちろん、手倉森誠監督は今大会を通じてチームの成長も重視しているが、攻守両面で逞しさを身に付けているのは間違いない。
 
 攻撃面では、ここまでの4試合で計13ゴールを奪取。4-0と快勝したラウンド16のパレスチナ戦後に、指揮官は「いろんな得点パターンを示せている状況に満足している」と高い評価を与えている。
 
 特筆すべきは、スピーディーかつ連動性溢れるアタックだ。フリックやスルーを駆使して3人目の動きが絡む崩しは、試合を重ねるごとに磨きがかかっている。
 
 一方守備面では、ラインコントロールに若干の不安を残すものの、ミスから3失点を喰らったイラク戦の反省を生かし、その後は個々がより一層の集中力を研ぎ澄まして、2試合連続無失点と自信を深めている。前から行く時とブロックを組む時の使い分けはこのチームの守備戦術の肝となるが、全員が意識を高く持って取り組んでおり、アンカーの遠藤航は「激しく行く時と、(相手に)ボールを回させて、入ってきたところを潰す時の判断をしっかりできればいい」と臨機応変な対応をポイントに挙げた。
 
ポイント2)選手のコンディションはどうか?
 練習中に右膝を負傷したCBの西野貴治は、回復が思うように進まず26日に帰国が発表された。また左脇腹を痛めていた山中亮輔がすでに練習に復帰している一方、27日の練習中には、岩波拓也が遠藤航と接触して顔を強打。ただ大事には至っておらず、よほどのことがない限り、韓国戦のピッチには立つはずだ。
 
 その他は特に問題はなく、大一番に向けてコンディションは上々と言っていい。チームはいつも通りの雰囲気のなかで最終調整に取り組み、植田直通は打点の高いヘッドで強烈なシュートを放てば、中島はキレ味鋭いパス&ゴーを披露。キャプテンの大島僚太は柔らかな笑顔を見せて「楽しみ」と語るなど、メンタル面の充実ぶりが窺えるのも好材料だ。
ポイント3)今大会の韓国の戦いぶりと警戒すべき点は?
 グループリーグの全3戦に、ラウンド16の香港戦を加えた計4試合すべてで無失点と、強固な守備力をベースに勝ち上がってきた。中島翔哉は「実際に戦ってみないと分からない部分がありますし、それほど多くの映像を観たわけではありませんが、きれいにブロックを作ったり、ボールを奪いに来る迫力がありますね。前が行っている時に、後ろがバランスを取ったりというのもできていると思います」と相手の守備について語っている。
 
警戒すべきキーマンは、背番号10を背負うキム・スンデだ。ここまで3得点を挙げており、高い得点力だけでなく、チャンスメイクもこなせる攻撃の中心的存在である。かつて新潟に所属経験があり、効果的なオーバーラップを繰り出すSBのキム・ジンスにも警戒が必要だ。
 
 組織的によく整備された攻撃が特長で、前半はノーゴールだった香港戦は攻めあぐねた印象もあるが、高さも備えたその重厚な攻めはイラクより上との見方もある。大声援を味方につけ、開催国のプライドを懸けて28年ぶりの大会制覇を目指すチームの士気は高い。
 
ポイント4)日本はどう戦うべきか?
 手強い相手であるのは疑いようがない。完全アウェーの厳しいシチュエーションでの戦いとなるが、手倉森監督は「ここで当たるのは最高ですよ。準決勝、決勝に対して勢いを持って進める相手」と隣国のライバルとの決戦を楽しみにしている。
 
 劣勢の時間帯が長くなるかもしれないが、チームコンセプトのひとつである「割り切り」で、我慢すべきところは我慢し、カウンターに勝機を見出すのもひとつの手だ。
 
 また、韓国の守備について語った中島のコメントには続きがある。
「韓国がこれまで戦ってきたチームに、仕掛けてくる選手がそこまで多くはなかったのかな、と見ています。日本にとってこれまで以上にレベルの高い試合になるでしょうけど、怖がる必要はないと思うし、むしろ楽しんでサッカーができれば、上手くいくのではないでしょうか」
 
 仕掛けという面では、単独で局面を打開できる中島は鍵を握る存在だろう。加えて、このチームにはボールスキルに優れる選手が多いだけに、テンポのいいパスワークや息の合ったコンビネーションプレーなど、それぞれの持ち味を存分に発揮して主導権を握るような戦い方こそが、勝利への近道になるかもしれない。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)