大野「センターバックのハードマークは凄いし、ルーズボールにも激しく来る。日本人なら飛び込まないだろうなってところに飛び込んできますね。あと、タックルが足に来ますよね(笑)」
 
――怪我を避けるための工夫が求められますよね?
近賀「まともにタックルを受けていたら、それこそ身体がもたないですよね。後ろを向いてボールを持ったら、ガツンと来ますし。ただ、そこでワンタッチではたけば、チャンスになります。だからこそ、ワンタッチではたいたりするためにも、身体の向きが重要。DFにボールをもらいにいく時、半身の状態にあるかどうかで、はたくパスに角度をつけられたり、つけられなかったり。半歩で別世界ですね。こっちに来て中盤もやるようになって、とりわけ身体の向きの重要性を実感するようになりました。つねに意識してプレーしています」
 
大野「オフ・ザ・ボールの動きですかね。なるべく止まった状態で受けないで、相手の背後で受けようとしています。背後を取る動きは得意とするところなので、続けて実践していけたらって思います。ただ、その背後に出た時に、日本人だったら追いつかないようなタイミングでも、外国人の選手はスピードがあるので、追いついたりします。そうなると、タイミングをうまくずらさなきゃいけない。でも、早めに出たらオフサイドになる。駆け引きが難しいですね」
 
――キックを大切にする文化もありますよね、こちらには?
近賀「中距離のボールはやっぱり上手だなって。軽々蹴っている感じ。ショートパスより中距離のほうが巧い(笑)。狭い局面とかは、日本のほうが上手だったりしますけど、サイドチェンジのボールやクロスの質などは、こっちのほうが上手」
 
大野「よく飛ぶなって思います。それが一番嬉しかった。アーセナルに来て、サイドバックから逆サイドにボールが来たとき、『これだ!』って思いました(笑)。日本ではまずなかったですから。だから、それが一番感動したところかもしれない(笑)。逆サイドでボールを呼んでるシーンも多いし、『サイドを変えろ』って声も多い。これができちゃうのが凄い。日本人としては、ずるいなって思います。生まれつきのものなのかなって。私も近賀とロングボールを蹴り合ってますけど、やっぱりそこまで飛ばない」
――ところで、アーセナルの男子の試合を生観戦したそうですね。感想は?
近賀「開幕戦(クリスタル・パレス戦)と、(マンチェスター)シティ戦に行きました。シティとの試合は良かったですね。アーセナルはシティに対しても、後ろからしっかり組み立てて、攻撃の形を作っていました。勉強になりました」
 
大野「感想を言葉で説明するのは難しいです。行かなきゃ分かんないでしょうね。観客もプレーも凄かった。なんか、サポーターも試合に入っていますよね。自分たちも一緒にピッチに立っているというか、そんな感覚で応援しているんだなって感じました。ゴールが決まったら、アウェーチームのサポーターを挑発するし、とにかく凄かった(笑)」
 
――シティ戦では、他に印象的なプレーはありましたか?
近賀「シティもアーセナルも、崩しにしても、シュートにしても、ペナの中で落ち着いてプレーできるのがすごい。それを強く感じました」
 
大野「サンチェスのプレーが印象的でした。オフ・ザ・ボールの動きがとても巧みで。テレビには映らない、そうした動きが見られるのは勉強になります。生観戦は(得るものが)デカかった。ポジショニングそのものも、相手をはがす駆け引きも、どっちも巧かった。参考になりますね。自分もあんなふうにすれば、ここではもっとうまくプレーできるのかなって。これは、自分の一番の課題でもありますね」