一般にランニングなどの有酸素運動の健康効果を得るには、毎回15〜30分は必要、とされている。ところが、1日5〜10分でも心疾患を予防し、寿命を延ばす効果が期待できるようだ。

 米アイオワ州立大学の研究グループは、18〜100歳(平均44歳)の成人、5万5137人を15年間にわたり追跡調査。事前に対象者の走る時間や頻度、速度を調べている。対象者のほとんどは白人で、約4分の1がランニングの習慣を持っていた。

 追跡期間中の死亡例を調べた結果、定期的に走る人は非ランナーより全死亡リスクが30%低く、心血管疾患、もしくは脳卒中で死亡するリスクは45%も低下した。また、ランナーは非ランナーよりも平均3年は長生きできる可能性が示唆された。

 さて、ランニングが健康や血の巡りに良いのは解っているのだが、なかなか走る時間がとれないのも事実──走らない言い訳にしているのかもしれないけれど。この微妙な人情を理解している研究グループは、同時に短時間のランニングの効果も解析している。

 その結果、週に1時間ほどのランニングを継続すれば、週に3時間以上走る場合と、ほぼ同じ程度の健康効果が得られることが判明したのだ。具体的には、週に51分未満、つまり1日5〜10分程度のランニングで十分というわけ。この「短時間」ランナーたちの全死亡リスクは、非ランナーに比べ28%減少し、心血管疾患死亡リスクは58%も低下した。

 短時間ランナーの走る速度は時速6マイル、およそ9.6キロメートル以上が望ましいようだ。早歩きの速度が時速6キロメートルほどだから、時速6マイルをキツいと感じるかは走ってみるしかない。もし辛い場合は、1日15分のウオーキングで短時間ランニングと同じ効果が期待できるらしい。走るなら6年は継続すると最大の恩恵を受けられる。

 短時間ランの効果について、研究者は「時間がなくて、ランニングを断念していた人たちが、走り始めるきっかけになれば」としている。確かに、ここまで逃げ道を断たれると走らざるを得ない、けれど……。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)